附属図書館長挨拶

大阪大学附属図書館は、最先端の学術情報、利用者支援サービス、また豊かな学習・教育・研究環境を、学内はもとより学外の利用者に広く提供し、他機関とも交流して、学術活動の進歩に貢献することを理念としています。本図書館の発足は昭和6年(1931年)にさかのぼりますが、その後平成16年に大阪大学が国立大学法人に移行、平成19年には大阪外国語大学と統合し、平成21年に現行の組織になりました。現在は、豊中キャンパスの「総合図書館」、吹田キャンパスの「生命科学図書館」と「理工学図書館」、箕面キャンパスの「外国学図書館」の4館と、その他学部の図書室などで構成されています。
全体で約390 万冊の蔵書、7万種類の雑誌を擁する本図書館は、「知識の宝庫」として機能しています。学生用図書を始めとする従来の紙媒体資料の整備とともに、教育研究活動に必要不可欠な学術情報基盤として、電子ジャーナル(約15,500タイトル)・電子ブック(約7,000タイトル)・データベース(40種類以上)など、電子媒体資料についてもとくに重点的に整備を進めています。また多数の貴重資料を所蔵し、「知的遺産の継承」にも力を入れています。なかでも「懐徳堂文庫」は、大阪大学の源流の一つとされる学問所「懐徳堂」(1724年設立)で活用されていた資料約5万点から成り、そのすべてを所蔵しています。平成21年度に、33点について大規模な資料修復事業を行いました。今後、様々な機会にこれらの資料の公開・展示を行いたいと考えています。
また、大阪大学の学術成果を電子的に収蔵し情報発信するため、「大阪大学学術情報庫 (OUKA - Osaka University Knowledge Archive)」を構築し平成19年度に公開しました。平成21年度末時点で、学位論文や紀要掲載論文など1万5千件を超えるコンテンツを公開し、大阪大学の研究成果を国内外に広く発信しています。
本図書館は学生が自ら学ぶための環境整備に努めています。国立大学の図書館として全国で3番目に広い豊中の「総合図書館」(面積約19,000 ㎡)、また吹田の「理工学図書館」では、機能面での充実を図るため「ラーニング・コモンズ」を本格的に導入しました。コモンズとは「共有の場」であり、「ともに学ぶ共有の場」を意味します。ここではあらゆる紙の資料、また電子的な資料や情報が得られます。それらによって一人で考えるだけでなく、互いに議論し、自ら問題や課題を設定し、意見を述べ、ともに答えに向かおうとする経験の場がラーニング・コモンズです。また、職員による図書館利用ガイダンスなどの利用者支援・授業支援のほか、ここにはTA(ティーチング・アシスタント)を配置しており、学習や研究について必要なことについて自由に質問や相談ができるようになっています。
ラーニング・コモンズのほかにも、大小の「グループ学習室」があります。一方、このような討論や共同作業のためのスペースの対極として、一人で静かに読んだり調べたりできる個人ブースなどを多数配置した「サイレントゾーン」も用意しています。ここではパソコンの利用も禁止し、完全な静寂の中で集中して考えることが可能な環境を提供しています。
本図書館は、このように多彩なスペースと多様で豊富な資料を用意し、大阪大学の研究と教育全般を支え、そして学生諸君が自ら知を切り拓いていくことを支援しています。世界の優れた大学には、必ず優れた図書館があります。図書館という存在自体が大きな転機にある現在、私たちも常により良い図書館、そして個性ある図書館を目指していきたいと思います。
平成23年8月26日
大阪大学理事・副学長
大阪大学附属図書館長
東島 清