中井履軒手稿。安永二年(1773)三月の自序によれば、履軒は、友人麻田剛立<あさだ ごうりゅう>(1734−99)が獣体解剖を行い、人体との対照確認を行おうとするのを、「かたわらに在りて膝を抱えて寓目」したという。剛立が研究に忙しく著述に余裕がないのをみて、「越爼」、すなわち自分の本分を越えて、履軒自らこの医書を著わした。履軒は、自ら人体解剖図十五葉を彩色筆写し、これに解説を付した。本書は、平成二年懐徳堂友の会刊、懐徳堂文庫復刻叢書三『華胥国物語』の中に復刻されている。