井狩雪渓著。この書は、雪渓が荻生狙徠の『論語徴』を論駁した書であるが、この中に友人であった富永仲基<とみなが なかもと>(1715−1746)の狙徠批判の説が二十二箇条「仲基曰」として書き写されている。写本。十巻五冊。仲基は、懐徳堂五同志の一人富永芳春の子で、早くから懐徳堂で学んだが、やがて懐徳堂の儒学の枠組みを大きく踏み越え、独自の方法論に基づく「誠の道」を提唱していく。仲基の駁説部分については、『懐徳』第十一号(昭和八年刊)の吉田鋭雄「富永仲基の論語徴駁説」に活字翻刻されている。
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