中井竹山手稿本。天明八年(1788)六月、西国巡見中の老中首座松平定信(1759−1829)が大坂に立ち寄り、竹山を呼び出して会談する。竹山はこの会談ののち、定信の「存じ寄りの義ども追々申し上ぐべし」という言葉に従い、国家・社会・学問などについての種々の献策を次々と書きついで献上していった。これは、『草茅危言』<そうぼうきげん>全五巻としてまとめられ、寛政三年(1791)に定信に献上された。近世最大の経世論書といわれる。本書は、昭和十六年の重建懐徳堂二十五周年を記念して、昭和十七年に懐徳堂記念会より活字翻刻されている。