定義や概要を調べる

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事典類を見る場合はまず、「索引」(最後の巻や巻末にあてられていることが多い)を引きましょう。自分が調べたい事柄がその事典ではどのような項目名で掲載されているのかがわかります。また自分では思いつかなかった関連項目名がわかって、テーマについてのキーワードを増やすことができます。

代表的な百科事典を紹介します。百科事典では、分野全般にわたって事柄の定義や概要を調べることができます。その項目の参考文献が示されているものもあります。

日本大百科全書 (小学館)
世界大百科事典 (平凡社)

オンライン百科事典

JapanKnowledge Lib  阪大契約データベース
「日本大百科全書」が検索できます。他に「現代用語の基礎知識」、「日本人名大辞典」、「日本国語大辞典」、「字通」、「日本歴史地名体系」などをまとめて検索できます。
ブリタニカ・オンライン・ジャパン  阪大契約データベース
『ブリタニカ国際大百科事典』と『ブリタニカ国際年鑑』の記事を検索できます。記事内のリンクから、同じ記事の英語版を読むこともできます。

年鑑とは一年間の出来事・統計などを収録、解説した出版物です。事典ではカバーできない新しい情報を得ることができます。昨今、年鑑・統計・白書の類は書籍として出版されることが少くなり、ウェブサイトでの公開に推移しつつありますが、ここでは現在も刊行が継続している代表的なものをピックアップしました。

総合年鑑

読売年鑑 (読売新聞社)
現在も出版が続いている唯一の一般年鑑。朝日年鑑、毎日年鑑、時事年鑑はすでに刊行中止となっている。
世界年鑑 (共同通信社)

専門年鑑

日本都市年鑑 (第一法規出版 )
日本労働年鑑 (法政大学大原社会問題研究所)
日本美術年鑑 (中央公論美術出版)

統計年鑑

日本国政図会 (矢野恒太記念会)
世界国政図会 (矢野恒太記念会)
日本統計年鑑 (日本統計協会)
世界の統計 (総務省統計局)

日本十進分類法別に、各分野の代表的な事典を紹介します。

0 総記

数理情報科学事典 (朝倉書店, 2005)
情報科学に関する概念を理学、工学、社会科学から哲学までの関連学問分野にも目を配り解説した中項目事典。各項目には参考文献あり。巻末には和文索引に加え欧文索引もあり。
人工知能学事典 (共立出版, 2005)
ロボット工学、計算機科学、認知科学、言語学など幅広い分野にまたがる人工知能の研究を網羅し解説した大項目事典。巻末に和英索引、英和索引、人名索引あり。各項目の参考文献も豊富。

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1 哲学

哲学事典[改訂新版] (平凡社, 1971)
人名・著作・事項等詳細に解説。哲学者の主著・参考文献を付す。哲学史地図あり。
岩波哲学・思想事典 (岩波書店, 1998)
社会・科学・芸術等隣接分野の成果を吸収。主導的な概念・主義等は特に詳しく解説。
心理学辞典 (有斐閣, 1999)
現代心理学の全領域を網羅。隣接諸科学も含め約4400の事項・人名を解説。また各項目における引用・参照文献の索引が特徴。
心理学総合事典 (朝倉書店, 2006)
心理学の体系に沿って構成。基本事項を網羅、最新の研究成果を盛り込む。卒論の準備や大学院での研究にも有用。
心理臨床大事典[改訂版] (培風館, 2004)
臨床心理士向け。心理臨床の各領域に関する理論及び実践技法671項目を解説。
現代倫理学事典 (弘文堂, 2006)
実践的な哲学事典。学説史的な解説は類書に譲り、他領域における規範の問題や日々の倫理的な問題を重要視。巻末の「倫理学基本文献年表」が有用。
宗教学事典 (丸善, 2010)
宗教学の全体像が見渡せるよう、全体を10の分野にわけ、約250のテーマを厳選。見開きのレイアウトが特徴で「読むための事典」を意識している。
日本宗教事典 (弘文堂, 1985)
日本の諸宗教を解説。体系的に理解できるよう構成。日本宗教史年表あり。
世界宗教大事典 (平凡社, 1991)
宗教に関わるあらゆる情報を網羅した事典。神話や民間信仰、儀礼なども掲載。

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2 歴史

歴史学事典 (弘文堂, 1994-2009)
歴史事典ではなく、学説史・今後の方向等について解説した歴史学事典。主題毎に分冊。
國史大辭典 (吉川弘文館, 1979-1997)
最も大規模な日本史事典。多くの項目に参考文献を付す。内容は隣接分野にも及ぶ。
歴史考古学大辞典 (吉川弘文館, 2007)
日本史学・考古学のほか民俗学・美術史・建築史など、幅広い分野から3270項目を収録。事項解説は事実だけでなく歴史的意義についても言及。図表も多く見やすい。遺跡などの項目には、関連する資料館も紹介され史跡・文化財めぐりにも最適。
世界考古学事典 (平凡社, 1979)
世界全域の遺跡名や考古学用語などの項目からなる解説事典。人類学・民族学などの成果も取り入れる。
日本考古学事典 (平凡社, 2002)
研究史、関連分野にも留意した記述。飾る・切るなどの動詞も項目としているのが特徴
世界歴史大事典 (教育出版センター, 1985)
民族文化にも力点をおいた歴史事典。現代の生活文化全体を取り入れるよう配慮。
新國史大年表 (国書刊行会, 2006)
古代から現代まで日本史の全分野を網羅。「政治・経済」「社会」「文化」に分けた見やすい三段組のレイアウト。記載事項に史資料の出典明記があるのが特長。
世界史大年表 (山川出版社, 1992)
1991年までの世界史全般の事項を政治中心に収録。巻末に歴代王朝図、統治者表等。
日本人名大事典 (平凡社, 1979)
古代から1938年8月までの物故者約5万人収録。旧字体・旧仮名遣い使用。
日本人名大事典. 現代編 (平凡社, 1979)
1938年9月から1978年8月までの物故者6000人収録。当用漢字・新仮名遣いを使用。
世界人名辞典[新版増補版] (東京堂出版)
日本編、東洋編、西洋編の3編。国や生没年月日、小伝、主要著書などを簡潔に解説。
地理学辞典[改訂版] (二宮書店, 1989)
用語・学者・関係機関・雑誌・統計書・著名な地理書などを解説。巻末に和文欧文索引。
日本歴史地名大系 (平凡社, 1979)
県別歴史地名辞典。項目の配列は時代順で地域ごとになされ、歴史的全体像が見える。
角川日本地名大辞典 (角川書店, 1978-1991)
県別47巻49冊。地名の豊富さが特色。解説は史資料に即し、典拠も可能な限り呈示。

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3 社会科学

岩波社会思想事典 (岩波書店, 2008)
基本用語・重要人名195項目を厳選し、詳細に解説。レポート・論文執筆の参考書として最適。
政治学事典 (弘文堂, 2000)
政治および政治学に関する領域を網羅する最大かつ最新の事典。巻頭のテーマ別綱目分類で俯瞰し、巻末の事項索引を駆使するのが上手な使い方。
国際政治事典 (弘文堂, 2005)
理論、歴史、地域、政策、日本外交の5つの柱によって構成。2412項目、5種類の索引を含む。世界史事典として、各国要覧としても活用できる。
現代法律百科大辞典 (ぎょうせい, 2000)
99年9月時点の法令から約4500項目を選定。理論と実務の到達点をもれなく解説。『国民法律百科大辞典』の後継。
国際関係法辞典[第2版] (三省堂, 2005)
国際法に関わる機構、組織、条約、判例、人名など掲載。巻末に欧文略語表等。
経済学辞典[第3版] (岩波書店, 1992)
マルクス経済学・近代経済学双方の用語を収録。事柄の解明に重点を置く「読む辞典」。
岩波現代経済学事典 (岩波書店, 2004)
経済学の基本概念から,最新理論まで。会計学,経営学,金融工学などの関連分野項目も積極的に採用。参考文献や関連URLの記載が充実し、初学者にも使いやすい。
経営学大辞典[第2版] (中央経済社, 1999)
経営についての欧米と社会主義諸国の概念と理論を実務的・学問的両側面から解説。
ビジネス・経営学辞典[新版] (中央経済社, 2006)
新しいビジネス用語から経営学の古典的文献の用語までを押さえた辞典。
統計学辞典 (共立出版, 2010)
オックスフォード大学出版局『A Dictionary of Statistics』の第2版。項目数は約2300項目。統計学の基本事項に関する簡明な説明書として定番。
社会学事典 (弘文堂, 1988)
60分野179頁に及ぶ「社会学文献表」掲載。社会誌・史的項目もあり理解を助ける。
社会学事典 (丸善, 2010)
社会学をビジュアルで見通すことの出来る中項目事典。第I部基礎編では6テーマ116語を選び解説、第II部の実践編では現在の社会に沿った多岐にわたる話題21テーマ304語を取り上げる。
社会心理学事典 (丸善, 2009)
社会心理学の歴史と現在を俯瞰する事典。見出しの項目数は245。見開き構成で読みやすい。巻末に引用文献目録あり。
新教育学大事典 (第一法規出版, 1990)
第1巻~第6巻は、事項および人名項目。第7巻には、教育関係旧法令や各種審議会答申等の資料を、第8巻には年表・統計・索引を収録。
日本民俗大辞典 (吉川弘文館, 1999-2000)
民俗語彙を指標に総項目数約6,000を収録。研究用語、技法また関連する法制度なども含む。沖縄・アイヌ等も視野に入れた日本列島の多様な民俗文化が分かる辞典。
文化人類学事典 (丸善, 2009)
30の研究領域を18のキーワードで分類した、学際的内容に豊む中項目事典。

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4 自然科学

科学・技術大百科事典 (朝倉書店, 1999)
科学および技術の全般を網羅した大百科事典。50音順に約6800項目を図表・写真を収録して解説した上中下3分冊。各巻頭に3巻分の50音目次があり、巻末に各巻の英索引を持つ。
岩波数学辞典[第4版] (岩波書店, 2007)
「数学基礎論」等21に分類した部門別番号も付記。別途、公式、数表への案内もある。
物理学大事典 (朝倉書店, 2005)
基礎から最先端まで物理学の全体像を把握できる体系的な大項目事典。基礎・発展・展開の3部構成。基礎は一般学生、発展以上は理工系学生から研究者向け。
化学大辞典 (東京化学同人, 1989)
物質名、概念語等わかりやすく説明。CAS登録番号を付与し化学物質辞典としても便利。
化学便覧. 基礎編[改訂5版] (丸善, 2004)
化学のほとんどの分野を網羅する、信用性の高いデータ集。
オックスフォード天文学辞典 (朝倉書店, 2003)
天文関係の用語に関連分野の用語も加えた4000項目を収録。巻末に見出し語の欧文索引付。
地質学ハンドブック (朝倉書店, 2001)
研究手法解説の基礎編、調査法を紹介する応用編と資料編による三部構成。充実を図った参考文献・資料によって調査ガイドにも。
岩波生物学辞典[第4版] (岩波書店, 1996)
外国語(主に英語)併記。付録にウィルスおよび生物分類表、主要代謝経路図等を掲載。
分子生物学大百科事典 (朝倉書店, 2006-2010)
分子遺伝学を中心に近年注目の事項を解説。単なる用語説明ではなく、最新の研究成果のレビューであるため、参考文献が大変充実している。
原色牧野植物大圖鑑. 合弁花・離弁花編[改訂版] (北隆館, 1996-1997)
各植物の彩色図(『牧野日本植物図鑑』の絵を拡大)と簡潔な解説を同一頁に掲載。
原色牧野植物大圖鑑. 離弁花・単子葉植物編[新版] (北隆館, 1996-1997)
写真と異なり細密なカラー図版で植物の細部まで確認できる。同定の手がかりになる花、果実、花序などの部分図から各植物の特徴が一目でわかる。
オックスフォード動物学辞典 (朝倉書店, 2005)
動物学が包含する広範な分野より約5000項目を選定・解説。学生や専門でない研究者向け。巻末に欧文索引付。
ステッドマン医学大辞典[改訂第6版] (メジカルビュー社, 2008)
広く医療関係者が常用。カラーを含む図版が随所に。英語見出しで発音、語源も付記。
最新医学大辞典[第3版] (医歯薬出版, 2005)
医学生、医療関係者にとって医学用語の簡単な概念を得るのに便利。
薬の事典 (朝倉書店, 2001)
個々の薬の説明だけではなく、薬の成り立ち、開発、法規制、医療との関係など薬に関わる幅広い事柄を詳しく解説している。
看護学事典[第2版] (日本看護協会出版会, 2011)
看護職者のみによって執筆された事典。約4000語の厳選した看護学用語について、字数をとって丁寧に説明している。
看護学大辞典[第6版] (メヂカルフレンド社, 2013)
各語彙に英語、必要に応じてドイツ語、ラテン語を付す。付録の分類表で領域毎の検索も可。

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5 技術. 工学

日本産業技術史事典 (思文閣出版, 2007)
幕末から1980年までの日本の産業技術史を、23の大項目、344の小項目から俯瞰する「読む事典」。小項目に参考文献を付し、巻末に50音順・アルファベット順・洋数順の索引を備える。
新領域土木工学ハンドブック (朝倉書店, 2003)
土木工学の伝統的領域工学は扱わず、進むべき方向性や技術的進歩を中心に編集。充実した参考文献、巻末和欧索引付き。
土木工学ハンドブック[第4版] (技報堂出版, 1989)
土木工学の全分野を体系的に解説したもの。資料編には土木史年表、関連法規、ピクトグラフなど。総索引には英訳付記。
地球環境ハンドブック[第2版] (朝倉書店, 2002)
地球環境問題についてのトピックを包括的に解説。各節には参考文献もあり。
建築大百科事典 (朝倉書店, 2008)
見開き形式で構成。330項目のユニークなテーマについて、執筆者の意見・主張をもとに解説することで、多様な視点を提供する。
機械工学事典 (日本機械学会/丸善, 1997)
「学術用語集機械工学編」を骨子に、情報機器分野やバイオテクノロジー分野の用語も加えた約14000語を、絵解き頁や図表なども交えて解説。
原子力ハンドブック (オーム社, 2007)
原子力について全体を俯瞰でき、この分野の基礎知識を得るのに最適なハンドブック。
機械工学必携[第9版] (三省堂, 2008)
基礎項目の機械の要素、機械工作法に重点をおいた実用的なハンドブック。最新のデータ・図表も豊富。最新のJISを採用し、国際規格(ISO)にも配慮。
電気工学ハンドブック[第6版] (電気学会/オーム社, 2001)
詳細な内容を備えた専門書。巻末の和英・英和索引は用語辞典としての機能も。
図説電気・電子用語事典 (実教出版, 2009)
基礎的な用語約3700語について、図や表を使い、混同しやすい用語などについても、平易さ理解しやすさを意識して編修。初学者向け。
金属便覧[改訂6版] (丸善, 2000)
材料全般について基礎・物性・検査法などから各種材料・加工法について解説。
金属の百科事典 (丸善, 1999)
金属以外の材料も幅広く含み、材料全般について基礎・物性・検査法などから各種材料・加工法について解説。データ集として、金属データブックと相関関係にある。
化学工学辞典[改訂4版] (丸善, 2005)
生物化学工学、環境、食品化学工学等の分野から約4300語収録。語彙に英語を併記。英語索引あり。
高分子辞典[第3版] (朝倉書店, 2005)
語彙に英語を併記。付録に高分子の命名法や物性(値)の検索法、一般的性質など掲載。
繊維の百科事典 (丸善, 2002)
繊維技術及び繊維産業に関する総合的な事典。前半の総論で繊維全般の基礎知識を解説し、後半の各論は用語事典となっている。
食品技術総合事典 (朝倉書店, 2008)
食品の加工・流通などの各種技術に加え、生活習慣病、食品安全性、食料自給率などの食の問題も解説。項目ごとの参考文献と、巻末に索引あり。
家政学事典[新版] (朝倉書店, 2004)
家族関係、家庭経営、食物、被服、住居、児童など8編からなる家政学専門事典。

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6 産業

新編農学大事典 (養賢堂, 2004)
農学および農業技術全般を網羅し、50もの大項目によって体系的に記述された専門事典。
最新農業技術事典 (農山漁村文化協会, 2006)
農業技術を中心に、農業経営・流通・政策や食品・食料問題まで網羅し解説した事典。カラー写真・図表が豊富。索引も充実。
園芸植物大事典 (小学館, 1994)
カラー写真と共に植物学・園芸学見地から解説。6巻は用語の解説、文献一覧など。
畜産総合事典 (朝倉書店, 1997)
総論と各論(乳牛、肉牛、豚、鶏など)にわかれ、畜産技術・加工技術を解説。
森林大百科事典 (朝倉書店, 2009)
森林・林業・木材に関する研究成果等を、テーマに分けて総合的に解説し、巻末には索引あり。項目ごとの参考文献には洋文献も多い。
原色樹木大圖鑑[新訂版] (北隆館, 2004)
全基本種に樹形図を載せている。部分図も豊富。用途別に分けた樹種の索引もあり。
水産大百科事典 (朝倉書店, 2006)
水産にかかわる環境・生物・生産・加工・経営などのあらゆる分野を網羅し、体系的に解説した総合事典。巻末索引あり。
最新商業辞典[改訂版] (同文舘出版, 2002)
商業およびマーケティングが対象。学習者・実務家向けで簡潔な解説がわかりやすい。
観光学辞典 (同文舘出版, 1997)
通信の百科事典 : 通信・放送・郵便のすべて (丸善, 1998)
基礎的知見を提供する読み物の総論と、見出し語3000におよぶ50音順事典の各論に分かれ、付録として年表や統計等を掲載。巻末に技術用語と略語の英和索引あり。

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7 芸術. 美術

西洋絵画作品名辞典 (三省堂, 1994)
13-20世紀の西洋画家630人のプロフィール、作品掲載。主要作品の目録ともいえる。
版画事典 (東京書籍, 1985)
「事項篇」は版種・技法・歴史など。「作家篇」は国内外の主要作家1000名を掲載。
Kodak写真大百科事典 (講談社, 1981)
豊富な図版で写真の見方・歴史などを解説。アマチュアカメラマンの撮影技法指導が中心。
やきもの事典[増補版] (平凡社, 2000)
窯名は開窯が明治以前のもの、人名は物故者が対象。編年図表や年表、文献目録あり。
ニューグローブ世界音楽大事典 (講談社/文献社, 1993-1995)
原著(マクミラン社刊)は英語圏で学術評価的評価が高い。21巻に音楽用語一覧。
演劇百科大事典 (平凡社, 1960-1962)
日本演劇中心。内外古今にわたり解説。専門家だけでなく一般向けとしても定評あり。
歌舞伎事典[新版] (平凡社, 2011)
図を適宜交え、詳しく解説。巻末に俳優名鑑、参考文献一覧、下座音楽一覧など。
世界映画大事典 (日本図書センター, 2008)
映画史や映画理論に関する記述約4,100項目を収録。資料編には年表、製作会社の系譜など。
最新スポーツ大事典 (大修館書店, 1987)
歴史的観点に基づき解説。「資料編」に年表(~1986)、各種記録、文献一覧あり。
図説日本武道辞典 (柏書房, 2003)
雑誌『武道』の連載をまとめたもの。基礎資料からの豊富な引用と著者による図版が特色。
世界山岳百科事典 (山と渓谷社, 1971)
山名、地名、登山用語、山に関する広範な事項など収録。巻末に主要山岳高度表など。
遊びの大事典 (東京書籍, 1989)
遊びを6分類(競う、演じる、賭ける等)して整理。実技編には「指導とプログラム」も。
角川茶道大事典 (角川書店, 2002)
歴史、宗教、芸能、美術工芸などの諸方面から専門的にとらえた事典。

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8 言語

言語学大辞典 (三省堂, 1988-2001)
約3500言語について名称・系統・研究史を解説し、代表的辞書・参考文献を挙げる。
言語学百科事典 (大修館書店, 1992)
現代言語学の研究成果と課題を、テーマ別に解説。写真や図表が豊富。
事典世界のことば141 (大修館書店, 2009)
言語の背景となる文化や、お勧めの学習書・信頼できるウェブサイトなども簡潔に紹介。
世界言語文化図鑑[新訂] (東洋書林, 2005)
言語事典と世界地図が一体化。分布図や各言語系統図があり、視覚的に理解しやすい。

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9 文学

新潮世界文学辞典[増補改訂] (新潮社, 1990)
事典編と各国文学史の2部。巻末付録は年表や分野毎の解説等で、世界文学便覧としても使える。
集英社世界文学大事典 (集英社, 1996-1998)
世界文学の解説を文学者名の下ににまとめる。総索引から書名・作品名からの検索可。
児童文学事典 (東京書籍, 1988)
日本と海外の児童文学事象を収録。付録の「世界児童文学史」は国・地域ごとの詳細なもの。
日本児童文学大事典 (大日本図書, 1993)
日本の児童文学と関連する分野のあらゆる人物・事項について収録。
新潮日本文学辞典[増補改訂] (新潮社, 1988)
古典から現代にいたる日本文学の人名や事象を収録。
日本古典文学大辞典 (岩波書店, 1983-1985)
江戸時代までの事項、人物、作品について国文学・国語学などの研究成果を集成したもの。
日本漢文学大事典 (明治書院, 1985)
日本の漢学・漢文学に関する人名・署名・事項等について解説した事典。
日本現代文学大事典 (明治書院, 1994)
作品篇、人名・事項篇の2巻。巻末に「主な映画化・演劇化一覧」,「海外における翻訳一覧」。
和歌大辞典 (大日本図書, 1993)
上代から近世までの古典和歌に関する事項を解説した辞典。
英語文学事典 (ミネルヴァ書房, 2007)
「エピソード」「名言・名句」などのセクションもあり、作家に興味を抱かせる内容。
アメリカ文学作家作品事典 (本の友社, 1991)
アメリカの作家の略歴とその代表作について解説したもの。
イギリス文学辞典 (研究社, 2004)
アイルランドを含めたイギリスの文学・文化に関する辞典。学部学生と大学院生対象。
フランス文学案内[増補新版] (朝日出版社, 1996)
フランス文学全般の作家・作品の解説。参考書案内もあり。
フランス文学辞典 (白水社, 1974)
中世から現代(1970年代)までのフランス文学についての総合的な辞典。
ブラジル文学事典 (彩流社, 2000)
ブラジル文学紹介書としても先駆的。巻末に250余作品の概要と、重要文献リストを収録。

国語辞書など、言葉の意味を調べる上で役に立つさまざまな辞書を紹介します。

国語辞典

日本国語大辞典[第2版] (小学館, 2000-2002)
用例が200万を超える百科事典的辞典。語義解釈・出典・方言・語源説明などを記す。
広辞苑 (岩波書店, 2008)
言わずと知れた国語辞典の定番。

漢和辞典

大漢和辞典[修訂版] (大修館書店, 1984-1986)
最大級の漢和辞典。中国古典の故事熟語・地名・人名・官職なども調べることができる。

難読語事典

難訓辞典 (東京堂出版, 1956)

古語辞典

角川古語大辭典 (角川書店, 1982-1999)

外来語辞典

角川外来語辞典[第2版]  (角川書店, 1977)
用例が多く、出典が明記されており、使い始められた時期もわかる。学術書から一般大衆誌まで幅広い資料から採取。

方言辞典

全国方言辞典 (東京堂, 1951)

語源辞典

語源大辞典 (東京堂出版, 1988)

類語辞典

日本語大シソーラス (大修館書店, 2004)
意味から言葉を探す辞典。20数万語句を1,044のカテゴリーに分類。索引を駆使する。論文作成にも有用。

人名・地名辞典

世界人名辞典[新版増補版] (東京堂出版, 1990-1994)
日本編、東洋編、西洋編の3編。国や生没年月日、小伝、主要著書などを簡潔に解説。
角川日本地名大辞典 (角川書店, 1978-1991)
県別47巻49冊。地名の豊富さが特色。解説は史資料に即し、典拠も可能な限り呈示。
世界地名大事典 (朝倉書店, 1973-1974)

外国語学部教員が各専攻語についてお薦めの語学辞書を紹介しています。入手不可・入手困難なものも含みます(入手方法についてはご案内できません。ご了承ください)。

2011.3.31掲載

朝鮮語

朝鮮語辞典(小学館 , 1993)
出版されてから既に20年近くになるが、現時点(2011.3)でも最も一般的かつ最高の朝日辞典である。収録語彙数は約11万語の中辞典サイズであるが、よく吟味された語彙が収録されていて、通常の使用にはこれ一冊で足りる。初学者に対する配慮が十分なされているので、朝鮮語の初級・中級学習者はまずこの辞書を使い、上級段階に進んでさらに多くの語彙を調べることが必要になれば、本国で出版されている朝朝(韓韓)辞典を使用すればよい。この辞典には中国朝鮮族特有の言葉も採られているが、朝日辞典として初の試みで、画期的であった。全体として完成度の高い辞典であるということができる。
朝鮮語大辞典(角川書店 , 1986)
大阪外国語大学朝鮮語研究室編。23年かかって編まれた本格的な大辞典である。例文には日朝の文学作品・新聞などが載せられ、解説も充実している。方言・古語なども多く、語源説も挙げられている。また、動植物名・専門用語など百科事典的性格も持つ。
조일소사전 = 朝日小辞典(외국문도서출판사 , 1994)
収録語数わずか3万余のきわめて小さな辞書であるが、朝鮮民主主義人民共和国の文献を読むためには必携の辞書である。朝鮮民主主義人民共和国では一部南の大韓民国とは異なる単語が使用されるが、この辞書にはそのような他の辞書には載っていない単語に対する的確な和訳が載っている。

モンゴル語

現代日本語モンゴル語辞典(春風社 , 2001)
かなり信頼できるモンゴル語ハルハ方言の和モ辞典である。語彙数が少ない点が難であるが、訳は比較的正確で基礎語彙の習得には適している。
モンゴル語ことわざ用法辞典(大学書林 , 2006)
モンゴル語の最も代表的なことわざ200を取り上げ、対応する日本語のことわざ、実例、全訳とともに掲げる。モンゴルの言語と文化の両方の学習には、必読である。
和モ辞典 = Япон Монгол толь бичиг(Адмон ХХК , 2007)(★阪大所蔵なし)
現時点(2011.3)で、最も信頼できる現代モンゴル語ハルハ方言の和モ辞典である。語彙数が約3万5千、例文が約2万8千、慣用句等も含む。これ一冊があれば、和モに関しては、十分であろう。
Монгол хэлний дэлгэрэнгүй тайлбар толь(Соёмбо принтинг , 2008)(★阪大所蔵なし)
モンゴル国で近年発行された最大規模のモモ辞典である。五巻本で高価だが、本当にモンゴル語を学習しようとする者にとっては、座右の書である。(図書館付記:限定出版のため入手困難。国立民族学博物館の図書室にあるので、そこで利用してください。)
日本語モンゴル語辞典 = Япон Монгол толь(Интерпресс , 1999)
モンゴル国で日本人研究者によって発行された最初の和モ辞典である。必要な漢字熟語が時折見出し語に掲載されてないという難があるが、S.デムベレル 和モ辞典(2007)と併用するとよかろう。
現代モンゴル語辞典[改訂増補版](大学書林 , 1994)
(初版についての解説)最も基本的なモンゴル語辞書。巻末の和蒙語彙集もありがたい。見出し語2万5千語は少なそうだが、派生語・複合語を含めて総語彙数約4万7千語になり、モンゴル語辞書ではこれは多いほうである。併記されているモンゴル文字形ローマ字転写に誤りが異常に多くて信用できない。
Mongolian-English dictionary (University of California Press ,1960)
通称「レッシング」。古典語中心に編集された辞書で、見出し語約2万5千語、複合語を含めた総語彙数は3万5千語以上。内モンゴルのモンゴル文字現代文を読むのには物足りないが、20世紀半ばまでの文献を読むにはこれが一番便利。中でも『黄金史』など近代以前の書を読むには不可欠。巻末に、仏教語彙集、キリル文字索引、難読モンゴル文字一覧がつく。ローマ字転写法が通常の方法とは異なるのは要注意である。モンゴル文字を読もうというなら、まずこれが最基本辞書。
蒙日辞典(朋友書店 (発売) , 1992)
『蒙古語正音正字辞典』の見出し語部分を編集和訳したものである。語数が約2万ごと少なく、編集に当たり、複合語や例文を一切省いているため、これだけでモンゴル文字文献を読むのはちょっと無理。またローマ字転写がないので、初心者には若干使いにくい。ただ、語彙がモンゴル現代常用語なので、慣れれば『Mongolian-English dictionary』と本書を併用するだけでモンゴル文字現代文は十分によめる。『Mongolian-English dictionary』の間違いの多いモンゴル文字ローマ字転写形の補正にもこれで十分。すべての見出し語に内モンゴル標準音の発音記号がついている。

外国語学部教員が各専攻語についてお薦めの語学辞書を紹介しています。入手不可・入手困難なものも含みます(入手方法についてはご案内できません。ご了承ください)。

2011.3.31掲載

インドネシア語

An Indonesian-English dictionary[3rd ed.] (Cornell University Press , 1989)
まず大学1年生が買うべきインドネシア語の辞書。大学4年間通して使える。
An English-Indonesian dictionary(Cornell University Press , 1975)
まず大学1年生が買うべきインドネシア語の辞書。作文用に必要。
最新インドネシア語小辞典[第1.3版](Grup sanggar , 2008)
Cornellの辞書の次に入手するなら、この辞典が良い。時事ニュースに頻出する比較的新しい語彙が含まれている。
現代インドネシア語辞典(大学書林 , 1977)
どうしても日本語がいいという人向け。ただし、語彙数が多くないので、上級までは使えない。
現代日本語-インドネシア語辞典(大学書林 , 1989)
どうしても日本語がいいという人向け。

フィリピン語

Tagalog-English dictionary(National Book Store , 1986)
ページ数:1,583ページ。収録語彙数:主見出し語が約16,000語、派生語(接辞つき)が約21,000語。主見出し語は、語根ベースでタガログ語のアバカダ順に配列されている。各主見出し語の下位見出しとして、派生語、成句等が掲載され、対応する例文が豊富に掲載されているほか、派生語は太字で、また例文はわかりやすいイタリック体で書かれており、たいへん読みやすい。例文のほとんどは、下記英語タガログ辞典で使用されているものをそのままとり入れた形となっているが、それがフィリピン語→英語、英語→フィリピン語の双方向からの学習を可能なものにし、翻訳や作文といった作業を行なう上で非常に大きな利便を与えてくれる。また、下位見出しの派生語が品詞ごとにグループ分けするのではなく、単純にアルファベット順に配列されているので、語根をひきあてるのが困難な一部の語彙等を除けば、品詞等を知らなくてもそれほど時間をかけずにひける。書店やインターネット等で入手可能。(『世界のことば・辞書の辞典』アジア編(三省堂 , 2008)から著者の了解を得て一部修正の上転載)
English-Tagalog dictionary(Congregation of the Most Holy Redeemer , 1977)
ページ数:1,211ページ。本書の例文は上記辞書とほとんど同じものが使われているが、今でもフィリピン内外でフィリピン語の作文には不可欠の辞書である。ただ、英語の単語が多義語の場合などには、対訳が見つけられないこともある。また、何度も増刷はされているものの、内容は改訂されていないので、新しい語彙の訳語が調べられないのが惜しまれる。書店やインターネット等で入手可能。(『世界のことば・辞書の辞典』アジア編(三省堂 , 2008)から著者の了解を得て一部修正の上転載)
Pilipino-English dictionary(National Book Store , 1986)
ページ数:2,675ページ。他のほとんどの主要図書とはちがい、語根のみならず派生語(接辞つき)を主見出し語として、タガログ語のアバカダ順に配列されている。このため、語根をひきあてることなく語彙の意味を調べることが可能である。意味の記述が詳しく、また同義語の掲載も他の辞書より充実している。ただ残念ながら、語根とその派生語との関係を知りたいときには使えない。また、例文がまったくない点も惜しまれる。現在は絶版中だが、再版が強く望まれる。2006年の「Abridged」版(ページ数:657ページ)は、再版されたものではなく、収録語彙数を4分の1ぐらいに減らして、ポケット版にしたもの。必要な語彙まで削ってしまったことが惜しまれる。(『世界のことば・辞書の辞典』アジア編(三省堂 , 2008)から著者の了解を得て一部修正の上転載)
Diksyunaryo-tesauro Pilipino-Ingles(Manlapaz Pub. Co. , 1972)
ページ数:1,027ページ。主見出し語は、語根ベースでタガログ語のアバカダ順に配列されている。語源、同義語に加えて、フィリピン諸語のみならず、マレーシア語やインドネシア語の対応形も表示されている。また、下位見出しとして、派生語、成句、例文などが掲載されている。本書の長所は、文字等で遭遇するタガログ語の古めかしい語彙等が探せること、見出し語の語源や専門分野が明示されていること、それに何といっても、対応する他のフィリピン諸語が即座に検索できることである。短所は、下位見出しとしての派生語、句、および例文が同じ列に、しかも小さくイタリック体で表示されているために、読みづらいという点であろう。本書も現在は絶版中だが、再版が強く望まれる。(『世界のことば・辞書の辞典』アジア編(三省堂 , 2008)から著者の了解を得て一部修正の上転載)

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2011.3.31掲載

ビルマ語

ビルマ語辞典(日本ビルマ文化協会, 1990)
収録語彙数約2万語。かつて日本で最もよく利用されていた辞典で、語釈も的確、かつ手頃な厚さだったが、絶版。古書店で入手できることもある。
ビルマ(ミャンマー)語辞典(大学書林 , 2000)
収録語彙数約5万語。現在、日本で最もよく利用されるビルマ語-日本語辞典。様々な分野の語彙を網羅しており、大変有用。日本人ビルマ語学習者には必須の辞典である。ただし、分厚いので持ち運びには不便。
Judson's Burmese-English dictionary(Baptist Board of Publications)[リンク先は1966年刷分]
ビルマ語辞典の古典。アメリカ人宣教師ジャドソンによって編纂され、死後の1852年に出版されたもの。現在売られているのは2005年版で、1953年に復刻された版の第5刷。
日本語ビルマ語辞典(大学書林 , 1995)
現在、日本で最もよく利用される日本語-ビルマ語辞典。
Myanmar-English Dictionary(Dept. of Myanmar Language Commission, c1996)
ミャンマーのビルマ語委員会が編纂したビルマ語-英語辞典。収録語彙数は2万5千を越える。日本では入手が難しいが、大変有用。ぜひ入手しておきたい。

ウルドゥー語

A dictionary of Urdū, classical Hindī, and English(Sang-e-Meel , 1983)
19世紀に編纂されたが、ウルドゥー語・英語辞書として非常に優れており、座右に置くべき辞書。イギリス版、インド版、パキスタン版があるが、安くて紙質の良いのはパキスタン版。
Qaumi English-Urdu dictionary[2nd ed.](Muqtadirah-yi Qaumī Zabān , 1994)
収録語数はかなり多いが、例文がないのでウルドゥー語で作文するときにはあまり役に立たない。
ウルドゥー語辞典(大学書林 , 2005)
日本最初のウルドゥー語・日本語辞典。語数が多い。用例が数多く収録されている。
Oxford English-Urdu dictionary(OUP , 2003)
有益な英語・ウルドゥー語辞書。多くはないが、文例も収録されている。

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2011.3.31掲載

アラビア語

A Dictionary of Modern Written Arabic[4th ed.] (Spoken Language Services , 1994)
アラビア語をアラビア語以外の言語で説明する辞書としては世界で一番有名な辞書。編者Hans Wehrはドイツ人で、もともと1950年代にアラビア語ドイツ語辞典として出版され、1960年代にJ Milton Cowanによって語義解説部分が英訳されて、「ア独」辞典から「ア英」辞典に生まれ変わったことで利用者層を飛躍的に広げました。  英訳で生じた「意味のズレ」なども含めて、この辞書に対するとかくの批判があります。しかし1つの欠点のせいで、10の美質をそなえた名品を捨てる必要がどこにあるでしょう。この辞書が出現したお陰で、非母語話者のアラビア語学習がどれだけ容易になったか測り知れません。この辞書を使わないアラビア語学習などおよそ考えられないほど、議論の余地なくアラビア語学習者必携の辞書。現在、ドイツ語版改訂第4版の英訳が最新英訳版。いわゆる「大英和」クラスより2まわりほど小型なハードカバー机上版もありますが、値段的にも安くてハンディーなペーパーバック版が使いやすいでしょう。
al-Mawrid (Dar al-Ilm Li al-Malayin)(リンク先は第12版)
英語で言うとHans Wehrの辞書が「英和」なら「和英」に当たる、語句表現をアラビア語でどう言ったらいいか調べる辞書を次に紹介しておきましょう。目的にドンピシャのものではありませんが、アラビア語母語話者が使う「英ア」辞典が、アラビア語でどう言うか調べるためのいわゆる「和英」に代用できます。al-MawridはBeirut-Lebanon出版の英ア辞書で、年々改訂が加えられているのでできるだけ新しい版を求めるといいでしょう。机上版サイズのハードカバー。持ち歩きには不向きですね。
al-Munjid (Dar al-Mashriq , 2001)
英語で言うと「英英」、アラビア語をアラビア語で説明した「アア」辞典は多種多様。その中から定評あるal-Munjidを挙げておきます。al-Mawridと同じくBeirutの出版。英語学習を思い返せば、ある時期を過ぎると、日本語より英語での説明のほうが分かりやすくなったりしたように、アラビア語学習でもアラビア語でダイレクトに説明されたほうがストンと胸に落ちることがあるもので、その意味で、中級から上級ぐらいになってもし余裕があるなら、アア辞典を本棚に加えておいても決してむだではありません。al-Munjidは規模的に大き過ぎず小さ過ぎず、恰好のアア辞典の1つ。『広辞苑』ぐらいの大きさ。以前は前半がアア辞典、後半がコンサイス百科の2部構成で、これはこれでなかなか便利でしたが、現在はアア辞典だけ独立した1冊にして出版しているようです。
A Dictionary of Egyptian Arabic (Librairie du Liban , 1986)
Hans Wehrがあり、al-Mawridがあって、もちろんここにテキストが加わって、さて、これでアラビア語学習の「七つ道具」がそろいました。アア辞典はあれば「望ましい」ぐらいの存在。  ところでここまで、「文語 (=書き言葉) アラビア語written Arabic」の辞書を説明してきたことを遅まきながらお断りしておきます。「文語アラビア語」があるなら「口語 (=話し言葉) アラビア語colloquial or spoken Arabic」があるはずで、2つのアラビア語の間にははなはだしい相違があって、さらに口語アラビア語は地域によっていくつもの地域語に分かれ……というアラビア語特有の言語事情にはここでこれ以上立ち入りませんが、もちろん基本としてアラビア語専攻で文語アラビア語を学ぶことは知ってきましょう。  そうではあっても、アラビア語専攻でアラビア語教育の根幹が文語アラビア語であるにせよ、口語アラビア語が半島やら地中海沿岸やら北アフリカやら、何種類もの地域語に分かれるにせよ、口語アラビア語辞典の中から、ここでぜひともこのエジプト口語アラビア語辞典A Dictionary of Egyptian Arabicを紹介しておきたい。  明晰な語義分析、豊富な用例--どのページでもいい、どこか開けばこの辞書の素晴らしさが一目瞭然で分かります。口語アラビア語を学ぼうと学ぶまいと、エジプト口語アラビア語に関心があろうとなかろうと、すべてのアラビア語学習者が座右に置いて、時々開いてはそのでき栄えの素晴らしを愛でる、そんな辞書です、これは。エジプト口語アラビア語でBadawiとHindsは、文語アラビア語でHans Wehrが達した地点を遥か越えた地点に到達しました。
現代アラビア語小辞典(第三書館 , 1981)
現在では数種類のアラビア語日本語辞典が出版されています、その中でこれなどは古典的な辞書と言えます。
パスポート初級アラビア語辞典(白水社 , 1997)
パスポート日本語アラビア語辞典(白水社 , 2004)
同一編者によるア日辞典と日ア辞典の2冊。用例を記載している点が特徴。

ペルシア語

新ペルシア語大辞典(大学書林 , 2002)
2002ページ、約八万語の見出し語をもつペルシア語・日本語辞典としては最大の辞典。古語から新語、俗語、外来語までを網羅してあり、学生から研究者まで幅広く利用できる大辞典である。
現代ペルシア語辞典(大学書林 , 1995)
学生・社会人向けに、日常生活の表現を重視した約2万5千語の見出し語をもつ現代語辞典で、イディオムや新合成語にも気配りされている。
ペ日・日ペ現代ペルシア語辞典(大学書林 , 1998)
『現代ペルシア語辞典』と『日本語・ペルシア語辞典』の合本・縮刷版。一冊にまとまっている点は便利だが、情報量は自ずと限られるので、できれば別々に買ってほしい。
日本語ペルシア語辞典[改訂増補版](大学書林 , 2010)
平成4年初版辞典の改訂版で、ページ数が約1.6倍になり、用例が大幅に増えて実用的になった。
Farhang-i Mu'in(6巻)(Amir Kabir, 1977-1980?)
イランでも定評のあるペルシア語・ペルシア語辞典で、5,6巻は固有名詞辞典となっている。ペルシア語に慣れてきたら、ぜひ挑戦してほしい辞典である。
Lughatʹnāmah(50巻)(Dānishgāh-i Tihrān , 1959)
百科事典的に使われる、大部のペルシア語-ペルシア語事典。詳細な地名や人名、また古典詩の用例などが収録されており、研究者が必ず参照すべき事典である。
Farhang-i Fārsī-i ʿāmiyānah(Nilufar , 1999)
ペルシア語・ペルシア語の俗語辞典で、現代文学や口語に興味のある人には必携の辞書である。
Farhang-i Muʿāṣir-i Fārsī-Inglīsī-i kūchik[New ed.](Farhang Mo'aser Publishers , 1996)
半世紀以上愛されてきたペルシア語・英語辞典。母音点がついていない欠点はあるが、コンパクトで持ち運びに便利な点が評価される。

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2011.3.31掲載

トルコ語

トルコ語辞典[改訂増補版] (大学書林 , 1996)
見出し語16,000語は現代語中心で、初学者にとっては十分であろう。重要語については、学習英和辞典なみの例文主義で編集されているのが親しみやすさを増してくれる。また、ことわざ、熟語の解釈や動植物の訳語など、日本語であることのありがたみが実感できる辞典である。
Redhouse Buyuk Elsozluğu İngilizce-Turkce, Turkce-İngilizce (Redhouse Yayınevi 2009) (リンク先はポータブル版ではない)(★阪大所蔵なし)
「トルコ語-英語辞書」の定番Redhouse辞書のポータブル版である。前半部[英語-トルコ語](570ページ)と後半部[トルコ語-英語](853ページ)の2部構成となっている。トルコ語学習者にとってさしあたり必要な後半部[トルコ語-英語]には、主な新造語、略語を含むおよそ35,000語が収録されており、新聞、雑誌、小説をはじめ各分野の現代語は十分カバーされている。
Redhouse Yeni Turkce-?ngilizce Sozluk [13rd ed.](Redhouse Yay?nevi , 1993)
トルコ語辞典では他の追随を許さない名辞典である。見出し語約56,000語には、現代語はもちろん、古典文学をはじめ、宗教、法律、言語、歴史など各分野の専門用語や主な固有名詞も豊富に収録されている。全ての動詞の超越形語尾が記されているのは初学者に限らずありがたい。見出し語がトルコ文字(ローマ字)に続けてオスマン文字(アラビア文字)で併記されている点も学術的価値を大いに高めている。

スワヒリ語

A standard Swahili-English dictionary(Oxford University Press , 1939)
名のとおりスワヒリ語の標準的な辞典で、見出し語は9882であるがそのもとに数多くの派生語などを収録している。出版の古さとそこからくる新語の欠如にも関わらず、今でも刷を重ね、もっとも広く使用されている。必携辞書である。
Kamusi ya Kiswahili - Kingereza (Swahili - English Dictionary)(Institute of Kiswahili Research University of Dar es Salaam , 2001)(★阪大所蔵なし)(大阪大学「スワヒリ語についてもっと詳しく知りたい人へ」へリンク)
1939年に出されたA standard Swahili-English dictionary 以来の本格的なスワヒリ語-英語の辞書である。ダルエスサラーム大学(タンザニア)のスワヒリ語研究所が編纂。単語の説明はA standard Swahili-English dictionary ほど詳しくないが,その分引きやすい。収録語彙数30,000以上。スワヒリ語を学ぶためには必携。表紙の色が1冊ずつ微妙に違うところがアフリカらしい。【タンザニアでないと手に入らない】
English - Swahili Dictionary [3rd ed.] (Institute of Kiswahili Research, University of Dar es Salaam , 2006)
Kamusi ya Kiswahili - Kingereza(Swahili-English Dictionary)と同様にダルエスサラーム大学スワヒリ語研究所が編纂。これまでに出版された英語-スワヒリ語の辞書の中で最も収録語彙数が多い。スワヒリ語を学ぶためには必携。(タンザニアでしか手に入らない)
Kamusi ya Kiswahili Sanifu (Standard Swahili Dictionary)[2nd ed.](Oxford University Press , 2004)
「スワヒリ語-スワヒリ語」としては唯一の本格的な辞書である。わかりやすいスワヒリ語で説明してあるので勉強になる。インターネット書店で入手可能。

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2011.3.31掲載

ロシア語

ロシア語ミニ辞典(白水社 , 1997)
初学者が使っているのをよく見かける辞書です。
パスポート初級露和辞典(白水社 , 1994)
初学者が使っているのをよく見かける辞書です。
博友社ロシア語辞典[改訂新版](博友社 , 1995)
初学者が使っているのをよく見かける辞書です。
研究社露和辞典(研究社 , 1988)
岩波ロシア語辞典(岩波書店 , 1996)
コンサイス露和辞典[第5版](三省堂 , 2003)
露和辞典[縮刷日本版](ナウカ , 1989)
和露大辞典[[復刻版](ナウカ , 1971)
講談社和露辞典[増補新装版](講談社 , 1992)
コンサイス和露辞典[第3版](三省堂 , 2005)
Толковый словарь русского языка (Азбуковник , 2007)
露露辞典
Большой толковый словарь русского языка(Норинт , 1998)
露露辞典

ハンガリー語

Magyar-angol szotar(Akademiai Kiado , 2009)(★阪大所蔵なし)(出版社サイトにリンク)
『ハンガリー語英語辞典+ネット』 見出し語約5万語。816ページ。ハンガリーのアカデミー出版社から出ている中辞典。ハンガリー語日本語のよい辞典がないので、学習者にはこれがおすすめ。わからない英単語があれば、英和辞典をひいてその英単語も覚えてしまえば一石二鳥。対応する英語・ハンガリー語辞典もある。
Magyar angol keziszotar = Hungarian English dictionary[4., atdolg. kiad](Akademiai Kiado , 2010)
『ハンガリー語英語中辞典』 見出し語約6万語。1328ページ。内容は上記のものとほぼ同じだが、語彙数が増えて二色刷になっている。対応する英語・ハンガリー語辞典もある。
Magyar angol nagyszotar = Hungarian-English dictionary[2. kiad] (Akademiai Kiado , 2002)
『ハンガリー語英語大辞典』 見出し語約12万語。1584ページ。上記の中辞典の2倍の語彙数が含まれている。中辞典に載っていないときには、この大辞典や下記の外来語辞典を見るとよい。対応する英語・ハンガリー語辞典もある。
Magyar ertelmező keziszotar[2., atdolg. kiad.](Akademiai kiado , 2003)
Magyar ertelmező keziszotar[2., atdolg. kiad., valtozatlan utannyomas](Akademiai kiado , 2006, c2003)(2003年出版第2版の再版)
『ハンガリー語国語中辞典』 見出し語約7万5千語。1536ページ。中級学習者におすすめ。ハンガリー語がある程度わかるようになったら、ハンガリー語の国語辞典を見てみよう。ハンガリー語の説明の方がわかりやすいことも多い。使用頻度が数字で記されている。
ハンガリーアカデミー出版社Webサイト
上記辞書4件のネット版が使えるサイト。 簡略版は誰でも使える。辞書購入者は辞書に掲載されているコードを使って登録すると、辞書と同じ内容を閲覧できる。
A Magyar nyelv ertelmező szotara(Akademiai Kiado , 1959-62)
『ハンガリー語国語辞典』 全7巻。見出し語約6万語。7383ページ。もっとも詳細な国語辞典。名詞や動詞の変化形の情報も記載されている。
Idegen szavak es kifejezesek szotara[6., atnezett, fuggelekkel kiegeszitett kiad](Akademiai Kiado , 1983)(★阪大所蔵なし)
『ハンガリー語外来語辞典』 見出し語約3万語。724ページ。外来語は対訳辞典や国語辞典にも掲載されていないことがある。そういうときには外来語辞典を引いてみよう。
Magyar szlengszotar[2., bőv. es atdolg. kiad](Akademiai Kiado , 2009)
Magyar szlengszotar[2., bőv. es atdolg. kiad](Akademiai Kiado , 2009)
ハンガリー語辞典(大学書林 , 2001)
1973年に発行されたハンガリー語日本語辞典の改訂版。 見出し語約4万1千語。1152ページ。内容が古く、今は使わない語彙や表現もあるが、日本語の訳語をさがすときに役立つ。
簡約ハンガリー語辞典(大学書林 , 2009)
上記辞典の簡約版。見出し語約2万語。1008ページ。
Kepes Diakszotar"(Akademiai Kiado , 1992)(★阪大所蔵なし)
『図解学生辞典』見出し語約1万4千。1110ページ。ハンガリーの中等学生のための国語辞典。説明もシンプルで、名詞の変化形(複数形、対格形、所有形)や動詞の活用タイプが記載されており、非常に役立つが、残念ながら絶版。テーマ別のイラストもついている。ハンガリー語共同研究室にあるので是非見てみよう。

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2011.3.31掲載

英語

Eゲイト英和辞典[携帯版](ベネッセコーポレーション , 2006)
重要語のもつさまざまな意味が、中核をなす「コア」とそこから派生する周辺という形式で分類され、わかりやすい解説やイラストとともに記載されており、語義を把握しやすい。
ウィズダム英和辞典[第2版] (三省堂 , 2007)
コーパスを使用して編纂されており、語が実際にどのように使われいるのかを伝えようとする工夫が、頻度順の語義配列、他の表現との微妙な意味の違い、英米の差となどといった情報と共に辞書の隅々に行き届いている。
Longman dictionary of contemporary English[5th ed.](Pearson Education , 2009)
約2000語の基本語彙で単語が定義されているので、英英辞典が初めての者にも使いやすい。例文も豊富。
新英和中辞典[第7版](研究社 , 2003)
英語学習用の決定版と言うべき物。動詞を軸とした文型の表示、名詞の可算不可算の区別、用例の豊富さ、成句の扱いの親切さ等、どれをとってもかゆいところに手が届くように学習者の便宜が図られている。又、語彙の数も比較的多く英語専攻を除けば語科を問わずに大学4年間一応満足して使える辞書である。
研究社新英和大辞典[第6版](研究社 , 2002)
わが国で最も由緒と権威があるとされる辞書。英語をプロとして学ぼうとする人の机上には是非欲しいもの。英語研究者としてありがたいのは、語源記述が極めて精密、正確であるとされている点である。英語専攻語の人は、3・4年次で何を専攻するにしても、この辞書は持っておくべきであろう。
Oxford advanced learner's dictionary[8th ed.](Oxford University Press , 2010)
海外の英語学習者用にA.S.Hornby他のベテランが編纂したもので、我々日本人にとっても非常に使いやすいものとなっている。英英辞典としては最初に手にされるものの一つであり、長年にわたってスタンダードの地位を保ってきた。

フランス語

プチ・ロワイヤル仏和辞典[第4版](旺文社 , 2010)
(収録語数約4万語)「会話文例集」と「発音解説」「重要動詞の活用変化」の3部からなる音声CD付き。 各項目が初級者向けに親切にわかりやすく書かれているのはもちろんのこと、基本表現や文法のポイント、会話文成句といった囲み記事が豊富で非常に有用である。さらに巻末には詳細な発音解説、主要文法項目説明、接尾辞・語形成要素一覧、日本語索引もあり、初めに使う仏和辞典としては申し分のないものである。初学者向けの仏和としてはこの辞書と下記2点は、内容、値段ともによく似ており、訳語や例文についても大差なく、どれを選んでも結構です。どの辞書も、巻末に付録として、簡単な和仏辞書と発音の参考としてのCDがつけられています。ただ、それぞれの辞書で字体やレイアウト、解説の仕方、付録などにそれぞれ工夫があり、見た目はだいぶ違います。辞書が引きやすいかどうかについては個人的な好み等が大きく作用するので、購入にあたっては、他の人の意見だけではなく、必ず実際に自分で辞書の中を開いて、自分が利用しやすいと感じられるものを選ぶようにしてください。
ディコ仏和辞典(白水社 , 2003)
(収録語数約3万5千語)CDに「発音と綴り文字」、「会話表現」を収録。 基本動詞はまず囲みで簡単な説明をした後詳しい内容に入るなど、初心者に使いやすいものになっている。また巻末では発音について丁寧に解説されており、舌の位置や口の形などの図と付属CDを活用することで、発音を独習することが可能である。接尾辞表や和仏語彙集も付いている。
クラウン仏和辞典[第6版](三省堂 , 2006)
(収録項目数4万7千語)発音・数詞・動詞活用形を収録したCD付き。 例文が豊富で語の使われ方がよく分かる。あまり使用されていない専門用語などを省き、基本語・フランス語の中核となる語に適切な説明が与えられている。巻末に接尾辞表や和仏インデックスも付いている。
プチ・ロワイヤル和仏辞典[第2版](旺文社 , 2003)
(初版についての解説)文法的な注意事項の前に赤刷りの記号を置いて注意を促したり、「類語」、「語法」などの欄を赤で囲って示すなど、使いやすい2色刷りになっており、学習者に対する配慮がよくなされている。複合語が本見出しの下に少し小さい活字で章見出しのように立てられていることも本辞書を使いやすいものにしている。
コンコルド和仏辞典(白水社 , 1990)
従来の和仏辞典に比べれば、動詞の取り得る構文をある程度まで明示し例文の数も多くするなど、適切な訳語を探し出しやすくするための工夫がなされている。

外国語学部教員が各専攻語についてお薦めの語学辞書を紹介しています。入手不可・入手困難なものも含みます(入手方法についてはご案内できません。ご了承ください)。

2011.3.31掲載

デンマーク語

デンマーク語基礎1500語(大学書林 , 1981)
語彙数は少ないが、単なる単語の羅列に終わっておらず、語の用法が適宜に示されていることや、発音記号が併記されている点など、初学者には有用なものである。
Politikens nudansk ordbog : med etymologi [4. udg](Politikens Forlag , c2010)
デンマーク人向けの”国語辞典”であるが、見出し語の変化形や発音も示されている上に、用例も豊富で、さらに語源も載っている、非常に有用な辞典である。大学でデンマーク語を専攻する3年生以上の学生さんには是非使ってもらいたいものである。

スウェーデン語

スウェーデン語日本語辞典(大学書林 , 1987)
語彙数は約2万語を収録し、他の外国語を介さずに、日本語訳が見出せることが利点であるが、語法の説明や例文がほとんど挙げられていない点が惜しまれる。しかし初歩の段階では、とかく日本語との対応訳がほしいもので、その点この辞書は、その要求を満たしている。
日本語スウェーデン語小辞典[第2版](大学書林 , 1993)
例文が挙げられていない点は残念であるが、日本語から手早くスウェーデン語が引き出せ、対応するスウェーデン語が、多くの場合、2つ以上示されている点が便利。語彙数約2万5千語を収録。
スウェーデン語辞典[第4版](大学書林 , 2002)
スウェーデン語・日本語辞典としては、現在もっとも大きなもので、各語に発音表記を付したり、動詞などの不規則な形にも見出しを挙げ初学者の便を図っている。基本語彙については、例文や成句など比較的豊富な一方、合成語や派生語については記述が簡略するぎる個所も見受けられる。方言に属する(?)、ほとんど用いられないような単語も含まれ、語彙選択基準に不満は残るものの、初級から中級までは良い伴侶となる辞典である。如何せん、高額であるのが残念である。
Prisma's Abridged English-Swedish and Swedish-English Dictionary(University of Minnesota Press , 1995)
本辞典はスウェーデン語・英語辞典、英語・スウェーデン語辞典の合本になっている。語数も8万5千あり、名詞の複数形は前書きを参照することにより把握でき、動詞の不規則な活用は記載されている。例文も多くはないが掲載されてあり、外国人学習者が間違えやすい語彙には発音記号も付されている。スウェーデン語初級から上級にかけては、この辞書を推す。
スウェーデン語の基本単語 : 文法+基本単語3000(三修社 , 2010)
これは辞典とは言えないが、学習したスウェーデン語の語彙を自分で体系的に整理するときに役に立つであろう。本書にはカナ表記が付されており、取り上げられている各単語の母音の長短のカナ表記に関してはほぼ間違いなく区別されている。
スウェーデン語基礎1500語(大学書林 , 1987)
辞書ではないが、日常よく使用される1500語に的を絞り、各々の日本語訳には細心の注意が払われている。また発音記号が各語の示されている点も魅力的である。
Svenska ord[3. uppl.](Myndigheten for skolutveckling , c2005)
収録語数が約28,500語と少ないが、発音表記も明示され、動詞は不定詞ではなく現在形で見出しが示され、また各語がどのような構文を形成するのか、どのような前置詞をとるのかなどが示されており、作文するときにも大いに役に立つ。巻末にはイラストが入っており、一種の図解辞典を成しており、スウェーデンの生活が窺われるようになっている。初級の段階では極めて有用な辞典であり、これをまず強く推薦する。幸いなことにこの辞典はインターネット上で無料で使うことができる。http://lexin2.nada.kth.se/lexin/
Norstedts stora svensk-engelska ordbok = Norstedts comprehensive Swedish-English dictionary[3. uppl.](Norstedt , 2000)
収録語数135,000語でスウェーデンで最大の対訳辞書。対象はスウェーデン人のためか、例文は少なく、発音表記も名詞や動詞の不規則な変化形も一切掲載されていない。初級には不向きであるが、上級で翻訳にかかわる際には役に立つであろう。
Natur och kulturs svenska ordbok(Bokforlaget Natur och Kultur , c2001)
中級の段階になれば、対訳辞典から早いうちにスウェーデン語・スウェーデン語辞典に慣れ親しむことを勧めする。そのときに本辞典が最適である。収録語数は32,000語とやや少ないが、例文が易しく豊富で、熟語も取り入れ、語の定義が分かりやすいスウェーデン語で説明されている。本書に慣れてしまえば、対訳辞典の限界が理解でき、同時にスウェーデン語の各語の持つ意味やニュアンスがストレートに分かるであろう。イラストもあり、分かりやすさを心がけている気配りが感じられる。
Natur och kulturs stora svenska ordbok(Natur och kultur , c2006)
上述の増補版で、収録語数が37,000語に増え、イデイオム表現が13,000採り入れられている。その分、旧著にあったイラストがすべて削除されているが、説明や定義の仕方・内容は旧著を引き継いでいる。両辞典は現在でも並行して販売されているので、多い語数を含む本辞典を選択するか、それともイラストが多数ある旧著を選択するかは学習者の好みと目的によろう。
世界のことば・辞書の辞典(三省堂 , 2008)
スウェーデン語の中級辞典にはさらに優れたものが多々ある。また各種の特殊な分野の辞典、百科事典等もある。それらの多くが本書の「スウェーデン語」(377頁-388頁)において解説されている。是非参照されたい。

外国語学部教員が各専攻語についてお薦めの語学辞書を紹介しています。入手不可・入手困難なものも含みます(入手方法についてはご案内できません。ご了承ください)。

2011.3.31掲載

スペイン語

小学館西和中辞典[第2版](小学館 , 2007)
高価(本体6,600円)ではあるが、初級から上級までに対応する網羅的な中辞典。例文も多く、基本語(計7,000語)にはレベルごとに星印がつけられていて、学習者にとって便利。動詞の文型の情報や形容詞の位置情報、類語や関連記事、文法説明も記載されている。また、語源も記載されている。特に、スペイン語専攻の学生は必携。 さらに、2010年、i-Pad、i-Pod用アプリが発売された。これまでの電子辞書にくらべ、操作性や可視性が格段に向上し、日常の使用にも十分耐えうる作りである。2800円と低価であり、ポケットプログレッシブ西和・和西辞典の和西部分もついていて、コストパフォーマンスにも優れる。"
現代スペイン語辞典[改訂版](白水社 , 1999)
定評ある学習辞典(初級~中級)で、兼修外国語、第二外国語の履修者にとっては最適。わかりやすい文法説明が特徴で、動詞の法選択や構文の情報も豊富。多くの電子辞書に採用されているのもうなずける。
クラウン西和辞典(三省堂 , 2005)
用例の多い、初級~中級向け辞書。ひとつずつの用例がよく考えられていて、じっくりと用例を読み、語彙の使われ方を理解したい人向け。西和中辞典第二版(小学館)などとあわせ持つと効果的。
プエルタ新スペイン語辞典(研究社 , 2006)
同社から「新スペイン語辞典」として出ていた初級~中級向け辞書の新版。地域差がよく意識された辞書で、用例も多い。クラウン西和辞典同様、西和中辞典第二版(小学館)などとあわせ持つと効果的。
クラウン和西辞典(三省堂 , 2004)
収録語彙も多く、新しい。それゆえにIT関連語彙なども豊富に掲載されている。学習者だけでなく上級者でも十分に活用できる。スペイン語専攻の学生は必携。
和西辞典[改訂版](白水社 , 2001)
クラウン和西辞典が出版されるまでは、唯一すすめることのできた和西辞典で、その価値はいまも失われてはいない。スペイン語学習者にとっては、十分すぎる語彙が掲載されている。
ポケットプログレッシブ西和・和西辞典(小学館 , 2003)
価格、携帯性の両面から、専攻以外のスペイン語履修者向けとして、重宝される辞書。西和辞典のみならず、和西辞典も語彙が充実している。スペイン語圏への旅行や短期滞在に威力を発揮すること必至。
デイリーコンサイス西和・和西辞典[中型版](三省堂 , 2010)
最新の携帯用辞書。価格、携帯性ともにポケットプログレッシブ和西・西和辞典と双璧をなす。これも専攻以外のスペイン語履修者向け。

ポルトガル語

現代ポルトガル語辞典 [改訂版](白水社 , 2005)

 東京外国語大学系の人たちが一丸となって編纂したもので、1996年の旧版を2005年に改訂した。我が国でこれからポルトガル語を学ぼうという人にとっては、最初に手にすべき一冊である。

 改訂版の宣伝文句には「我が国最大の59,000語 新語、専門語を多数追加 4,700語の和ポ付き」とある。私がポルトガル語を学び始めた1967年ごろに流通していたポルトガル語辞典(国内、国外ともに)には発音記号が付されていないのが常であったが、本辞典は、その旧版から、英和辞典などのように、発音記号を用いて発音とアクセントを示しているが、まさに編者たちの見識の高さを示している。

 ポルトガル語は英語と同じく、ポルトガルのポルトガル語とブラジルのポルトガル語で、若干の発音上の相違や語彙の相違がある。本辞典の発音表記はブラジル式であるので、ポルトガルのポルトガル語を学ぶ人は注意を要する。改訂版のはしがきに「基本的にはブラジルのポルトガル語を目標とするが、ポルトガル的用法もより多く取り入れ、アフリカでの用法も視野に入れた」とあるように、本辞典を使用する初学者は、ブラジルで通常用いられる語彙とポルトガルのそれとの区別に注意を払うのがよいと思う。一例をあげよう。

 (汽車、電車の)車両、客車はブラジルではvagaoという。本辞典でvagaoを引くと「①《鉄道》車両、客車」となっている。これはすなわちブラジルの用法で、ポルトガルでは、同じ意味としてはcarruagemを用いる。carruagemを引くと、「四輪馬車;《ブ》多数の車;《ポ》車両」となっている。小型辞典であるので、英和辞典に見られるような《vagao参照》といったクロス・リファレンスがないのが惜しまれる。在日ブラジル人(ポルトガル語を教授している者も含めて)の中には、本辞典をポルトガル式とブラジル式をごちゃまぜにしているとか、ブラジル語法を正しく反映していないといって批判する者がいるが、本辞典ではそのへんのケアはきちんと行われている。本辞典を使用する者が大事な記述を見落としているだけである。辞書は引くものではなく、読むものである。

Collins dictionary : English-Portuguese, portugues-ingles (HarperCollins Publishers , 2006)

 私は学生時代から、アメリカやイギリスで出版されている英語を軸とした安価なペーパーバックの辞書を多数収集し、また実際に使ってきた。ポルトガル語以外に、スペイン語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、エスペラント、はてはラテン語までこのような辞書を必要に応じて活用してきた。これらの類の辞書の便利な点は、1冊で双方向であること、すなわち1冊で英和・和英辞典のような働きをしていることである。

 英語は、もちろんポルトガル語などのロマンス諸語とは系統を異にする言語であるが、周知のごとく、語彙に関してはフランス語の影響を受けており、ロマンス諸語と類似した語彙も多い。また日本人のほとんどすべてが、まずは英語を学んでから他の外国語(ポルトガル語)の学習を始めている現状からすると、英語・ポルトガル語の辞書をうまく活用することが望まれる。

 この辞書には、中型、小型、ポケットサイズと用途別に3種類ある。どうせなら語彙数の多い中型を薦めたい。この辞書の特徴は、裏表紙の宣伝文句に “From digital TV to voice mail, teleconferencing to teleworking, the Collins Portuguese Concise Dictionary keeps you up to date with contemporary Portuguese. Additionally, this dictionary provides extensive help with constructions and usage.”とあるように、新語に強いことである。本来のポルトガル語ではないが、ひろくブラジルで使われる外来語(特に英語からのもの)もポルトガル語として収録されている。一例をあげよう。ブラジルでは「屋外広告」のことをoutdoorというが、本辞典では、ポ・英部分の見出し語にこの語があげてあり、“ M billboard”と説明してある。Mは「男性名詞」の略で、この語はポルトガル語では「男性名詞」であることがわかる。見出し語の英語、ポルトガル語ともに発音記号が付されている。なおポルトガル語の発音はブラジル式で表示してある。また英ポの項でsmokerを引くと、ブラジルで使われるfumanteしかあげられていないが、ポ・英の見出し語にはfumanteと並んで、ポルトガルで使われるfumadorが(PT)の記号付きであげられている。これはポルトガル特有の語彙ということになる。英語の場合と同様に、ポルトガル語を学ぶ際にも、ポルトガル、ブラジルの語彙の相違に注意を払うことが必要で、その辺の配慮もこの辞書ではある程度行き届いている。新聞や雑誌また日常生活に必要な現代語が多く収録されているので、誤って古臭い語彙を使うといった心配がない。英・ポも非常に使い勝手がよく、既習の英語で知っている単語やイディオムをこの辞書を引くことで、ポルトガル語ではなんというかを簡単に知ることができる。私があまり和・ポ辞典の使用を学生に勧めないのは、英語を媒介語とするほうがずっと便利だからである。ちなみにこの辞書を使って、語釈に出てくる英語がわからなかったらどうするか?我が国の英和辞典は世界最高のものである。英和辞典をじっくり参照すればよい。この辞書を使うことでポルトガル語も英語も、ともに実力がつく。

日本語 ブラジル・ポルトガル語辞典(三省堂 , 2010)

 編者の日向ノエミアさんは、長年、我が国で日本人にポルトガル語を教授したり、日本とブラジルの異文化コミュニケーションの問題を研究してきた、日本語とポルトガル語に堪能な日系2世である。1990年代以降、入管法の改正により在日ブラジル人の数が急増した関係もあり、さまざまなポルトガル語の会話書、語彙集などが刊行された。玉石混交の刊行書籍の中で、私は常に日向さんのお書きになるものに信を置いてきた。本辞典は日本語を学ぶブラジル人、ポルトガル語を学ぶ日本人の双方に役立つように編まれたものである。

 もっとも見出し語の日本語がローマ字表記ではないので、これを利用するブラジル人は少なくともひらがな、カタカナはマスターしておく必要があろう。

 先に、私は、和・ポ辞典の使用に否定的な見解を述べたが、それにもかかわらず本辞典を推薦するのは、次のような理由による。発信型の語学教育が強調される昨今、日本独特の制度や事物、また日本語の特徴といえる擬態語、擬声語などをポルトガル語でどう表現すればよいのか、そういう時こそ和・ポ辞典の出番である。

 本辞典の特徴として、編者がすぐれたポルトガル語、日本語の使い手であるにもかかわらず、大勢のインフォーマントの協力を得ている点である。ひとりよがりにならず、他のブラジル人の語感を十分に盛り込んでいる。

 例をあげて、和・ポ辞典の使いかたを示そう。たとえば日本語の「とんとん」はポルトガル語でどのように表現すべきか。本辞典では、まず日本語の意味を〈同程度〉、〈擬声語〉に分類し、前者には「収支がとんとんだ」という例文をあげて、対応するポルトガル語を示している。後者には対応するポルトガル語の擬声語をあげ、さらにカッコ書きのポルトガル語で「軽く、繰り返し叩く音」という説明を加えている。また「はまる」に対しては、その語義を〈ぴったり入る〉[例文:ふたが瓶にはまらない]、〈はまり込む〉[例文:ぬかるみにはまる]、〈だまされる〉[例文:わなにはまる]、〈のめり込む〉[例文:彼は今ブラジル料理にはまっている]などに分類し、それぞれに対応する適切なポルトガル語訳をあてている。しばしば初学者が簡単に考えるように、日本語の1つの単語がそのまま別の1つの外国語の単語に対応するわけではない。

 日本語らしい表現をどのようにポルトガル語に移すべきか?そういった場合にこそ和・ポ辞典は使うべきで(和英、和仏なども同様)、その意味でも本辞典はよくできたものだと思う。

 初学者は、上に紹介したこれらの辞書で十分であろう。もしもこれらの辞書が物足りなくなったとき、それは確実にポルトガル語力がついたということを意味している。それから図書館などで大型の辞書にあたるようにすればいいのではないだろうか。まずは基礎力をしっかりつけるために、上記の辞書を十分に使いこなすべきだ。繰り返しになるが、辞書はわからない単語に出会ったときに、その場しのぎで引くものではなく、通読するものだ。ここに紹介した辞書ならいずれも通読するにそれほどの苦労はないであろう。辞書の凡例、付録、発音解説にもしっかりと目を通したいものだ。たとえ小さな辞書でも、辞書一冊の情報量は分厚い単行本の何十倍、何百倍もある。電子辞書は紙の辞書に取って代わることはできない。

外国語学部教員が各専攻語についてお薦めの語学辞書を紹介しています。入手不可・入手困難なものも含みます(入手方法についてはご案内できません。ご了承ください)。

2011.3.31掲載