投稿先学術雑誌の評価方法

このページでは、論文を投稿する学術雑誌を選ぶ際に参考になるツール類などを紹介します。
以下に示すチェック方法はあくまで一例です。論文の投稿先の選定についてはご自身のご判断のもと、慎重に行うようお願いいたします。

近年、論文投稿料(※)の取得を目的とし、学術研究の質に関係なく論文等を掲載する悪質な雑誌が増加しているとされ、「ハゲタカジャーナル(predatory or pseudo-journals)」とも呼ばれています。
悪質とされる雑誌に論文が掲載された場合、研究者としての信頼性やキャリアを損なう恐れもあります。投稿先を選択する際には以下のようなツール類をご活用いただき、くれぐれもご注意くださいますようお願いいたします。

※購読の有無等に関係なく誰でも論文を利用できる学術雑誌のことをオープンアクセス誌と呼び、近年その数が増加しています。これらの雑誌に投稿する際は、著者が論文投稿料を支払うことが一般的です。オープンアクセス誌にも質の高い学術雑誌が数多く存在しますが、「ハゲタカジャーナル」はそういった仕組みを悪用して投稿料を取得することのみを目的に創刊されています。

1.データベースで学術雑誌の評価を確認

A) Journal Citation Reports

Clarivate Analytics社が算定している、「Journal Impact Factor」と呼ばれる学術雑誌の影響力を示す指標を参照することが可能です。オープンアクセス誌のみに絞り込んでリスト表示することもできます。この数値は、Web of Science収録論文の被引用数に基づき算出されます。
人文科学系の雑誌には多くの場合Journal Impact Factorがありません。ですが、人文科学系も含めて、Web of Scienceへの採録自体に明示的な基準が設けられていますので、Web of Scienceに採録されていること自体が、その雑誌が一定の評価を得ているという判断材料の1つになります。
「ハゲタカジャーナル」が自身のWebサイトに虚偽のJournal Impact Factorを表示している、というケースもありますので、Journal Impact Factorは必ずJournal Citation Reportsを使って確認するようにしてください。

参考:Journal Impact Factorの算出方法など
ジャーナル・インパクトファクター(Journal Impact Factor:略称JIF)をよりよく理解するために

参考:Web of Scienceへの採録基準
Editorial selection process

■Journal Citation Reportsによる「Journal Impact Factor」確認方法

  1. Journal Citation Reportsにアクセス。
  2. 「Browse Journals」をクリック。
  3. 収録誌リストが表示され、「Journal Impact Factor(JIF)」が確認できます。Filterを使用すると、分野やオープンアクセス誌の絞り込みもできます。

Journal Citation Reportsによる「Journal Impact Factor」確認方法

B) Scopus

Elsevier社が算定している、「CiteScore」と呼ばれる学術雑誌の影響力を示す指標を参照することが可能です。オープンアクセス誌のみに絞り込んでリスト表示することもできます。この数値は、Scopus収録論文の被引用数に基づき算出されます。
Scopusへの採録自体に明示的な基準が設けられていますので、Scopusに採録されていること自体が、その雑誌が一定の評価を得ているという判断材料の1つになります。

参考:CiteScoreの算出方法など
Scopus: CiteScore

参考:Scopusへの採録基準
Scopus: 収録コンテンツ

■Scopusによる「CiteScore」確認方法

  1. Scopusにアクセス。
  2. 「収録誌」をクリック。
  3. 収録誌リストが表示され、「CiteScore」が確認できます。画面上部で分野等を絞り込みできるほか、左カラムで「Open Accessジャーナルのみを表示」にチェックを入れると、オープンアクセス誌のみを表示できます。

Scopusによる「CiteScore」確認方法

C) Predatory Reports

投稿先学術雑誌選定のサポートを行っている米企業Cabell’s International社が提供するデータベースです。 専門家が60以上の項目を分析して選定した、悪質と疑われる雑誌の基本情報と問題点を掲載しています。論文の投稿先として、その雑誌や出版元が信頼に足るかどうかを確認する際の1つの判断材料にできます。

参考:専門家による分析項目
Cabells Predatory Reports Criteria v 1.1

■Predatory Reportsの利用方法

  1. Predatory Reportsにアクセス。
  2. 情報を確認したい雑誌名などを入力して検索する。
検索してヒットしない雑誌は、Predatory Reportsでは悪質と疑われる情報を把握していない雑誌です。この場合も、安全な雑誌であることを確実に保証するものではありませんので、1つの判断材料としてご利用ください。(悪質な雑誌であっても、Predatory Reportsが情報を得られていない可能性があるため)

2.Webサイト等で確認すべきこと

1.で示した評価指標は、雑誌の創刊後一定の期間を経過しないと付与されません。とくに創刊後間もないジャーナルに投稿する際は、Webサイト等で以下のような点も注意してご検討ください。

  • 雑誌の発行元がどういった組織か
  • 編集委員に信頼できる研究者が参加しているか
  • 出版社の連絡先や査読の方法、投稿料等に関する規定等が明確に表示されているか
ただ、Webサイトに虚偽の情報を掲載している「ハゲタカジャーナル」もありますので、出版社からの発信情報のみに頼らないようにしてください。

オープンアクセス誌の場合、以下に示すような出版・研究業界の団体やイニシアティブに参加していることは、雑誌の信頼性を確認する1つの材料になります。

3.研究者間での情報交換

同一分野の研究者の意見や評価をふまえて投稿先の雑誌を決定することも有効です。
読者としてもあまり名前を聞いたことのないジャーナルや、新規創刊のジャーナルに投稿しようとする場合は、とくに情報交換が有効です。以下のWebサイトも参考になります。

SciRev

査読にかかる期間等の査読プロセスについて、研究者の経験を共有するデータベースです。査読の信頼性を確認する1つの材料になります。

データベースの利用方法について

1.で示したデータベースの使用方法などご不明な点は、お気軽にお近くの各図書館のスタッフまでご相談ください。

レファレンス・デスク