【展示】LS Recommended Books ~長期休みに読みたい本~

2023年12月1日

LS Recommended Books ~長期休みに読みたい本~

大学院生スタッフのラーニング・サポーター(LS)が、大阪大学図書館所蔵の資料の中からみなさんにおすすめしたい本を選びました。

通常の図書と同様、大阪大学の学生証・図書館利用者票があれば貸出も可能です。気になる本は「配架場所」と「請求記号」をメモして本棚へ探しに行ってみてください!外国学図書館にない図書については「予約/取寄」ボタンから取り寄せることができます。

LSおすすめの本

1 	ポップな哲学誌「フィルカル」の連載書籍化 ちくま新書は、手軽で読みやすい!!悪口雑言、罵詈讒謗、嘘や誤誘導に差別言動 アクチュアルな事象から言語哲学にダイブできる 例えば「主語がデカい」話をするなって言うけれど…… 結局、どういうことなのか、とは思いませんか? QRコードから著者のコラムが読めます、ぜひ	悪い言語哲学入門 / 和泉悠著 (ちくま新書 ; 1634)
2 	上手くいっていない、ないしよろしくないと思われるコミュニケーションのあり方を考察 嘘や誤誘導、差別言動に加えて、デタラメや声の封殺、想定される聴衆を越えて届く事例、(非)同意の問題を論題に 言葉に接していれば現れる、意外と身近な暗黒面! QRコードから、訳者解説の一部が読めます	バッド・ランゲージ : 悪い言葉の哲学入門 / ハーマン・カペレン, ジョシュ・ディーバー著 ; 葛谷潤 [ほか] 訳
3 	ポスト・トゥルースの現代にタイムリー ただ、語用論の素養もあると読みやすい Huang(2014)のCh.8の内容が念頭にあるといいかも 巧妙に言い逃れができてしまう犬笛とは何か 特定の人にしか分からない形での人心操作や、大衆扇動はどう起こる? QRコードから、訳者解題の一部が読めます	言葉はいかに人を欺くか : 嘘、ミスリード、犬笛を読み解く / ジェニファー・M・ソール著 ; 小野純一訳
4 	待望の日本語文献、論文集 インポライトネス(≒対人無配慮、無遠慮) マイナス待遇とか卑罵語に関してはあったけど…… 日常生活からメディアや文学での表象まで 身近な人間関係~キャラクター造形が対象に 気心知れていれば失礼じゃないって本当に? 保護者同士、ないし芸人たちが体面の上で何をどうやりとりしているかが分かる……かも……	イン/ポライトネス : からまる善意と悪意 / 滝浦真人, 椎名美智編
5 	行為は「する/される」の関係に収まらない。 能動態でも受動態でもない「中動態」の世界を忘れた昨今の言語が失ったものとは? ・「言葉で語るよりも『エビデンス』の提示を。」 知識やデータの過度な偏重がもたらす危機とは? ・二人の哲学者が言語を取りまく問題を語り合う。	バタイユ : 消尽 / 湯浅博雄 [著] (講談社学術文庫 ; [1762])
6 	・何故人の理性と感情はときに反発するのだろうか。何故人は合理的でないと知りながら、一時の情動に身を委ねて精神的快楽を得ようとするのだろうか。 ・言葉と認識の能力の限界を超えた先に解の糸口がある。グロテスクなまでに人の本性を切り詰めたバタイユの思想を追う。	言語が消滅する前に / 國分功一郎, 千葉雅也著 (幻冬舎新書 ; 634, [こ-18-2])
7 	・これは「大切なつながりと出会い直すための本」である (著者ご本人のXポストより)。 ・著者の提起する贈与の概念から人と人との関係を捉え直したとき、あなたは気付くことになる。――返礼の叶わない「贈与」に。――あなたが次に繋ぐべきバトンに。	世界は贈与でできている : 資本主義の「すきま」を埋める倫理学 / 近内悠太著
8 	主人公Kは測量士としてある村を訪れる。しかしKのするような仕事は存在しないと村人に突っぱねられる。 Kは何とかして正体不明の「城」の中核に近づこうと苦悶するが、その度に謎の力によって跳ね返される。 「城」が意味するものとは何なのか?そしてKはなぜそこまでして自らの存在意義を認めさせたかったのか?近代社会が抱える問題ともリンクする作品。	審判 / カフカ [著] ; 池内紀訳 (カフカ小説全集 / カフカ [著] ; 池内紀訳 ; 2)
9 	銀行員である主人公ヨーゼフ・Kは、ある日無実の罪で逮捕される。ヨーゼフ・Kはあらゆる手を使い無実を証明しようとするが、その甲斐もむなしく死刑に処される。 しかし物語の語りは常にヨーゼフ・Kの視点となっている。このことから、本当に彼の語りは信頼に足るのかなどの別の視点も持つ必要がある(意外に彼は詰めが甘い人物かもしれない)。 ヨーゼフ・Kの運命はあらかじめ決まっていたものなのか、あるいは本人の努力次第で変わったのだろうか。本書は訳者によってその差異を味わうことができる(池内訳は非決定論的)。	城 / [カフカ著] ; 池内紀訳 (カフカ小説全集 / [カフカ著] ; 池内紀訳 ; 3)
10 	万里の長城建設における一部始終について、「わたし」視点から叙述される短編小説。「わたし」は建設工事に憧れを抱き、工事についての周辺状況に私見を述べる。しかし物語は「わたし」に長城建設の一報が届くところで唐突に終了する。 ほか生前に「八つ折りノート」と呼ばれる小型ノートに書かれた短編や雑文が数多く収録されている。短編の収録順(前後の関係)は今も研究者の間で議論されている。	万里の長城ほか / カフカ [著] ; 池内紀訳 (カフカ小説全集 / カフカ [著] ; 池内紀訳 ; 5)
11 	戦前の東南アジアで、植民地反対運動の文脈のなかで、広く読まれたのが、レーニンの代表的著作『帝国主義論』である。その議論の土台となったのが、著述家ホブスン(John Atkinson Hobson, 1858-1940)による『帝国主義論』であった。 『帝国主義論』のなかで、ホブスンは社会改良主義的な立場を取りつつ、過剰生産・過剰資本の対外投資先として、一部階級の目的追及のために、植民地形成がなされることを指摘する。さらに、こうした植民地運営の問題性を一つずつ批判している。	帝国主義論 / ホブスン著 ; 矢内原忠雄訳 (岩波文庫 ; 白133-1-2, 34-133-1-2, 4294-4295, 4296-4298)
12 	言語の数に比べれば、文字の種類は圧倒的に少ない。 そうしたなか、アジアは「文字の宝庫」と言えよう。そこでは、インド系文字、アラビア文字、漢字、ラテン・キリル文字などが使われている。 各文字の分布や形の相違から、地域間の交流や人の移動の歴史に思いを馳せてみたい。なかでも、インドやスリランカ、チベットや東南アジア大陸部で広く普及しているインド系文字の一覧表(pp.26-27)は眺めているだけでも十分面白い。	図説アジア文字入門 / 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所編 (ふくろうの本)
13 	世界には一体いくつの言語があると思いますか? 第1巻から第4巻の「世界言語編」では、世界中の様々な言語についての記述がまとめられています。一度手にとってみて、パラパラとめくってみてください。聞いたことがない言語ばかりだと思いますが、長期休みを利用してできるだけ多くの言語の特徴を知ってみましょう!	言語学大辞典 / 亀井孝, 河野六郎, 千野栄一編著
14 	みなさんは旅行することは好きですか?この本を読めば、旅に出たくなります。長期休みには、是非旅に出かけてみましょう。旅先では、有名な観光地で写真を撮るだけではなく、街の路地、スーパーマーケット、トイレに至るまで積極的に観察してみましょう。何か大きな発見が得られるはずです。 本の題名のように、何でも見てみましょう!	何でも見てやろう / 小田実著 (Kawade paperbacks ; 1)
15 	『星の王子さま』は読む年齢によって違った感想を持つ作品です。小さいときに読んだことがある人も、もう一度じっくり読んでみてください。 また『星の王子さま』は様々な言語に翻訳されています。自分の専攻語や勉強している言語で『星の王子さま』を精読してみましょう。長期休みに文法の復習や新しい単語を覚える良い機会かもしれません。	星の王子さま / サン=テグジュペリ作 ; 内藤濯訳 (岩波文庫 ; 赤N(37)-516-1)
16 	越境の時代、人は「誰として」生きるのか。法・生活実践・モノからみる個人の同定。移民がグローバル化する今、人と国籍を問う。越境者と国家をつなぐコード(本書より)。 国境を越えて生活する人々は、どのようにして現代のグローバル化社会や、そこで作られたシステム・制度と向き合っているのでしょうか。国境とは、国籍とは、国民とは、一体何なのでしょう?そんな「そもそも」について考えるきっかけにもなる一冊です。	越境とアイデンティフィケーション : 国籍・パスポート・IDカード / 陳天璽 [ほか] 編著
17 	東南アジアの人々が文化に関わる多様な価値観とどのように向き合っているのか、そうした文化の中で自らをどのように位置づけていくのか、という問題を人類学・地域研究の立場から考察した論文集(本書より)。 論文集とは感じられないくらい非常に読みやすい一冊です。写真やコラムも多く、今時の東南アジアについて知りたいと考えている人には特におすすめです!	東南アジアのポピュラーカルチャー : アイデンティティ・国家・グローバル化 / 福岡まどか, 福岡正太編著 ; 井上さゆり [ほか] 著
18 	ハンガリーでは広場の名前、歴史の授業などを通して聞かないことはないバッチャーニの名。その家族の犯罪の真相を、バッチャーニ家の末裔で記者である著者が追う。 家族のそして世界の歴史と向き合う著者の旅と、祖母および同じ村で育ちアウシュビッツから生還したアグネスの手記を通して、明らかになることとは。 ノンフィクションに織り交ぜられたフィクションと著者の心象風景に惹きこまれていく。	月下の犯罪 : 一九四五年三月、レヒニッツで起きたユダヤ人虐殺、そして或るハンガリー貴族の秘史 / サーシャ・バッチャーニ著 ; 伊東信宏訳 (講談社選書メチエ ; 707)
19 	4歳で本を読むことができた活字中毒の著者が、自身を文盲と表現したのはなぜか? 淡々と描かれるも心には次々とイメージが浮かび上がる。 訳者あとがきのわたし(アゴタ)と外国語との関係をめぐる考察も、外国語を専攻として選んだ私たちに改めて「言語を通して世界を学ぶこと」について考えさせてくれる。補足コメント:自身が亡命者であるアゴタ、自身は亡命した家族の子孫であるサーシャ。外国の力に翻弄された者とそれを経験していないゆえに越えられないものを感じ苦悩する者。あなたはこれらの書を読んで、何を思うでしょうか。 文盲 : アゴタ・クリストフ自伝 / アゴタ・クリストフ著 ; 堀茂樹訳