ボードゲーム大会『DAIGAKU~いばら色のキャンパスライフ~』の開催報告
2024年春、総合図書館では、新入生向け図書館オリエンテーションに合わせて、「ボードゲーム大会『DAIGAKU~いばら色のキャンパスライフ~』 」を開催しました。
ボードゲーム『DAIGAKU~いばら色のキャンパスライフ~』(以下、DAIGAKU)は、本学の萩原広道助教と学生の方々、DAIGAKU開発チームによって製作されたボードゲームです。プレイヤーは「大学生」となり、大学生活にまつわる様々な選択肢の中から自分でアクションを選択し、4年間の大学生活を疑似体験することができます。新入生の参加者は、ゲームの中で学業・バイト・課外活動などにいそしみ、時には思わぬハプニングにも遭遇しながら、卒業を目指してプレイを進めていました。
ゲームの終了後にはDAIGAKU開発チームの座談会も行われ、イベントは終始なごやかな雰囲気で進行しました。
4年間のキャンパスライフを疑似体験していくボードゲームDAIGAKU。図書館オリエンテーションと併せて、キャンパスライフの道標のひとつとなっていれば幸いです。
※詳しいルール説明は、萩原先生のYouTubeアカウントで公開されている「DAIGAKU」ルール説明動画【ルール説明・全体の流れ編】をご覧ください。
参加した学生の声
参加した感想
- 大学生活のイメージがより具体化されてよかった。
- 知り合いが出来た。
- 留年って意外と自分にも有り得るかも…と思ってしまった。
- スタッフの方がとてもおもしろかった。ゲームも、最後にポートフォリオがあって、自分で楽しく物語れる、しかも逆転の余地があるので楽しかったです。
- ゲーム中先輩の方が巡回して、話しかけてくださったり、ゲームのことを気軽に教えてくださったりしたので、楽しくゲームできた。
イベント担当職員のコメント
図書館では、毎年初年次生への利用者教育として、「図書館ガイダンス」や「図書館クイズラリー」を開催しており、入学式前から開始するイベントにも関わらず、毎年多くの新入生に参加いただいています。開催者側としてはうれしい一方で、図書館という場所が「勉強したり、本を探しに来るところ」であるというだけの印象になっていないかというひそかな懸念がありました。
数年前、鎌倉市中央図書館が8月末にX(当時はTwitter)に投稿した内容が話題になったことがあります。それは「学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい。」というものでした。これは私個人の思いですが、学生の皆さん一人一人に、それぞれに合った図書館の使い方を知るために大学図書館で練習してほしいんです。図書館はもっと気軽に、なんにもなくても来てほしい。勉強以外の悩みを解決したいから図書館に探しに来たっていいし、ちょっと休憩したいとか、一人になりたいとか、そんなときにも気軽に使って、リラックスして過ごしてほしい。ただ、図書館に来たことのある人でも、それを実感してもらうのは難しいんだよなあと日頃から感じていました。そんなところへクラウドファンディング中のボードゲーム『DAIGAKU~いばら色のキャンパスライフ~』の情報が目に飛び込んできて、これだ!と思ったのです。図書館でイベントを企画し、開催することで、開発チームにとってはクラウドファンディング中のボードゲームイベント開催の実績となりますし、図書館としては、新入生が図書館に来て、リラックスした時間を過ごすきっかけとなるイベントを開催することができるはず。僭越ながら、DAIGAKU開発チームと図書館の双方に利益があってWin-Winではないか?と考えました。加えて、私がボードゲームDAIGAKUを知ったときに、ぜひ図書館でイベントをしたいと思ったポイントが2つありました。
ポイント1.参加者同士が対面で自然に話せる「ボードゲーム」であることイベント参加者として想定したのは、3年間の高校生活のすべてをコロナ禍で過ごした2024年度の新入生でした。人と話すことは最低限にしなければならない、という社会的な雰囲気の中で高校生活を過ごし、コロナ禍から社会全体が回復してくる時期に大学に入学してくる新入生のことを考えたとき、ぜひ大学ではいろんな人と話してほしい、という思いがありました。大学という場所は、それまでの人生に比べて、異なる文化的背景を持った人と出会う機会が飛躍的に増える場所です。そんな人生の貴重なチャンスをぜひ生かしてほしい。そう考えたときに、少人数で集まって話しながら進める形式のボードゲームは、初対面の人同士、つまりその日に初めて会う新入生同士でも会話が弾むのでは、という期待があったのです。
ポイント2.ハプニングカードの内容が現実的であること
人との出会いが多くなる一方で、増えることを覚悟しなければならないのがトラブルというもの。対人関係に限らず、今後の人生の教訓として、一人の人間として生活していくときに何に気を付けていけばいいのか、大学生のうちに一度考えて、致命的にならないよう対応策を知っておいてほしいとも思っていました。意外と多いのが一人暮らしになってからのトラブルだというのは私個人の経験ですが、大阪大学安全衛生管理部からの啓発によると、カルト宗教の勧誘や闇バイト等、一人暮らしでなくても、大学生であるというだけで陥りがちな罠は多いそうです。そんなトラブルも「ハプニングカード」で疑似体験できるDAIGAKUはまさに理想的な教材であると感じました。“教材”と表現しましたが、ボードゲームというあくまでも娯楽のものであるという点も素晴らしいと感じています。勉強となるとどうしても堅苦しいですから。
イベント共催のお願いをしたところ、幸い、萩原先生も、DAIGAKU開発チームの学生の皆さんも、企画をご快諾くださり、4月早々にイベントを開催することができました。参加者からは「意外な結末となり驚いた」「こんなトラブルが起こりえるんだと知り、気を付けようと思った」等、イベントの目的が達成できたことがうかがえるコメントをいただき、開催して良かったと心から嬉しく思いました。
クラウドファンディングの募集期間がイベント開催前に終了する設定だったため、残念ながら広報活動としてクラウドファンディングへ貢献することはできなかったのですが、それでもイベント共催をお引き受けくださったのは、萩原先生のご厚意の賜物です。この場を借りて、改めて深く感謝申し上げます。また、開発チームの学生の皆さんの体験談も大変興味深く伺い、今の学生の本音、いわゆる「コロナ世代」の皆さんの心情の一端を知ることができたのは、大学職員として貴重な財産となりました。本当にありがとうございました。
DAIGAKU開発チーム 萩原 広道 助教(大阪大学大学院人間科学研究科)のコメント
DAIGAKUは、常にバラ⾊とは限らない、ときには「いばら⾊」になりうる現代のリアルな⼤学⽣活を疑似的に体験できるボードゲーム型教材です。
DAIGAKUの製品化を⽬指したプロジェクトは、2023年度に実施された「学問への扉」の授業をきっかけに始動しました。その後も授業の枠を超えて、「学部学⽣の⾃主研究奨励事業」や、⼤阪⼤学公式のクラウドファンディングへの挑戦などを経て、多くの⽅のご⽀援や開発協⼒によりその製品化が実現しました。
さらに、全国⼤学⽣活協同組合連合会や、東京⼤学⼤学総合教育研究センターの佐藤浩章教授、京都市⽴芸術⼤学デザイン科の⾕川嘉浩講師ら全国多数の⼤学関係者の開発協⼒を得て、試作版を⼤きく改訂し、幅広い場⾯で活⽤できる「楽しい教材=エデュテインメントツール」として新たに⽣まれ変わりました。⽴場や世代を超え、多くのみなさまに楽しんでいただける製品になっています。
今後は、さらに多くの⽅に活⽤していただけるように、⼤学ごとのローカルなイベントを盛り込んだ「拡張キット」の制作や、教育場⾯での活⽤事例の蓄積、アンケート調査の分析などにも取り組んでいく予定です。ぜひ手に取っていただけますと幸いです!