資料の種類と探し方の全体像:卒論・修論レベル

卒業論文・修士論文の執筆をはじめ、研究活動を進めていくうえで、さまざまな資料を活用していく必要があります。ここでは、研究に使用する資料の種類とその探し方の概要をご案内します。

研究に使用する資料の全体像

主なものとして、以下があります。使用場面にあわせて、使い分けていきましょう。

 生成系AIツールの利用にあたっての注意

  1. 生成系AIツールから得られた情報を、そのまま卒業論文・修士論文執筆の参考にすることはできません。
    • 書誌事項(図書・論文等の情報)や、事実関係の解説を含む回答:
      情報が誤っていたり、古かったりする可能性があります。生成系AI以外の信頼できる情報源で、情報の裏取りをしてください。
    • 図書や論文等の文献を紹介する回答:
      参照する情報源やピックアップする図書・論文の選定基準が不透明で、重要な文献が漏れる可能性があります。文献探索にあたっては、論文データベースや、図書・論文等に収録されている参考文献リストも併せて活用してください。
    • 論文等の要約文:
      必ず原文に目を通して、論旨に相違がないか確認してください。
  2. 入力内容がツール提供者に共有される可能性があります。
    未発表の研究内容などの取り扱いには注意が必要です。

学術文献の使用場面と探し方

参考図書(辞書、事典類)

事典・辞書・ハンドブックなど調べものに使用する図書のことを、参考図書と呼びます。

【使用場面】

  • あるテーマについて、基本的な情報(定義・定説・背景)を確認する
    Point 専門分野の参考図書では、ことばの定義だけでなく、そのテーマについての定説・背景の情報も得ることができます。
  • あるテーマについて、基本となる文献の情報を得る
    Point 各項目の解説中に挙げられている参考文献は、そのテーマについての基本文献である可能性が高いです。

【探し方】

  • 定義や概要を調べる:主要な参考図書の紹介
  • 図書を探す:他の図書と同じ方法で検索できる
    Point 大阪大学蔵書検索(OPAC)で参考図書のみに絞っての検索はできません。「分野名」に加えて、「事典」「辞書」「辞典」「ハンドブック」などを検索キーワードとして使ってみましょう。(例:「中国 事典」で検索)
  • 各図書館の参考図書コーナーで、該当分野の棚に並んでいる資料を手に取ってみる

入門書・概説書

初学者向けに書かれていて、あるテーマに関する知識・情報が体系的にまとめられている図書です。

【使用場面】

  • あるテーマについて、基本的な情報(定説・背景)を確認する
  • あるテーマについて、概要を体系的に理解する
  • あるテーマについて、基本となる文献の情報を得る
    Point 入門書・概説書に挙げられている参考文献は、そのテーマについての基本文献である可能性が高いです。初学者向けの文献リスト・読書案内が掲載されている場合もあります。

【探し方】

  • 図書を探す
    Point 大阪大学蔵書検索(OPAC)では「入門書・概説書」だけに絞って検索することはできません。検索結果からいくつか候補の図書をリストアップし、図書館で現物を手に取って、自分のニーズに合う図書を探してみましょう。

専門書・研究書

基本的な知識のある学生・研究者向けに書かれており、絞られたテーマについて研究成果がまとめられている図書です。

【使用場面】

  • 詳細な研究内容を得て、論証の根拠に利用する
  • その分野の研究状況や研究史を把握する

【探し方】

雑誌論文

研究者向けに書かれており、絞られたテーマについて最新の研究成果を確認できます。雑誌論文は学術雑誌に収録されています。
このうち、レビュー論文・総説論文と呼ばれるものは、そのテーマに関する文献を幅広く総覧・評価したもので、多くの文献情報を得ることができます。

【使用場面】

  • 詳細な研究内容を得て、論証の根拠に利用する
  • [レビュー論文] その分野の研究状況や研究史を把握する

【探し方】

その他の資料の概要

新聞記事・一般雑誌記事

主に人文・社会科学系の研究において、使用場面があります。
一般読者向けに書かれており、ある事件や事柄、それに対する社会の反応などを確認できます。速報性を重視することや、学術的な内容確認プロセスを経ていないことから、内容に誤り・偏りのある可能性があります。

【使用場面】

  • 過去の事件や事柄について、当時の報道内容や社会の反応を確認できる

【探し方】

インターネット情報

政府機関・地方公共団体などが公開する統計情報のような公的情報から、信頼性の低い情報まで玉石混交です。レポートで活用する場合は、掲載内容の信頼性を評価することが不可欠です。

【使用場面】

  • 信頼できる情報であることを評価した上で、論証の根拠に利用する

【留意点】
例えば、以下の2つのポイントを用いて、信頼性を評価すると良いでしょう。

  • 誰がその情報を発信しているか
    Point サイトのドメインを見ると、情報の発信者をある程度判断することができます。例えば「go.jp」の場合は、日本の政府機関が発信している情報です。
  • その情報が根拠に基づいて書かれているか
    Point 引用や出典が示されていない場合は、根拠に基づいて書いていると判断できません。引用・出典が明記されている場合も、実際に出典の資料をチェックするとなお良いでしょう。
また、インターネット情報は更新されていく可能性があるので、参照日とURLを必ず記録しておきましょう。例えば、以下のようなサービスを利用すると、過去の特定の日付のWebサイトを確認することができます。

その他

研究内容によっては、以下のような資料を利用することもあります。詳細は各ページをご覧ください。