大阪大学図書館報 第55巻第1号(通巻198号), 2022.3

【開催報告】2021(R3)年度実施の職員研修・講演会

図書館企画課 小村

2021年度、附属図書館では2つの職員研修・講演会を実施しました。
それぞれの概要と参加者の感想などを報告いたします。

令和3年度大阪大学職員研修「大阪大学の研究者を理解する:図書館サービス向上のために」

2021年12月16日(木)、大阪大学職員研修「大阪大学の研究者を理解する:図書館サービス向上のために」を、Webex Eventsを使用しオンラインで開催いたしました。
対象は大阪大学の図書館員および教職員で、48名が参加しました。

講演会のプログラム等は過去の職員研修に掲載しております。

講演1「研究・論文執筆における抄録・引用文献データベースの活用法」、講演2「研究力分析ツールSciValから見た大阪大学の研究の傾向」

エルゼビア・ジャパンの佐藤氏と高橋氏からは、研究者の論文投稿のプロセス、2018~2021年の大阪大学のSCOPUS利用概況、SciValで分析した大阪大学の研究の特徴など中心にご講演いただきました。

大阪大学における研究が広く各分野にわたって行われており、また同時に教育学とコンピュータ・サイエンスなど多彩な学際研究も行われていること、SciValでは大阪大学と他大学を比較分析することや、共同研究の相手機関や研究者の情報を入手できることなどが紹介されました。

講演「数字/数字以外から研究者を知り業務に活かす ~ 経営企画オフィスURA部門の事例をもとに」

経営企画オフィスURA部門の先生方からは、どのように研究者を知り業務に活かしているのか、様々な面から大阪大学の研究を細かく見ていることを中心にご講演いただき、本研修の参加者が大阪大学の研究者について理解を深め、業務高度化の糸口となり得る内容を提供していただきました。

論文・研究資金・研究者データベース等から得られる数字のデータ以外に、自分の足・耳・目を使って大阪大学の研究者と研究力を知ることについて説かれ、学内でどのような研究が行われているのか、様々な角度から俯瞰できる方法をご紹介いただきました。

数字によって状況を把握することも重要だが、現場に足を運んで数字以外の状況や要素を感じ取ることも大切である、という点は図書館員にも参考になるものでした。

質疑応答・参加者の感想

質疑応答の時間には、国際共著や産学共著論文への支援策、また論文以外の研究成果に対する分析・評価についての質問などがありました。

また終了後のアンケート回答では、「研究分析ツールであるSciValの使い方などが詳しく説明されておりわかりやすかった」「大阪大学所属者の論文において、グリーンオープンアクセスが引用数の増加に寄与していると見られる話などが興味深かった」「研究者の動向、また、研究者への支援を知ることができた」などの感想が寄せられ、研究者と研究支援の理解を深める機会となりました。

2021(R3)年度国立大学図書館協会地区協会助成事業 講演会「図書館の防災を考える:実践的危機管理訓練の有用性」

2022年1月25日(火)、国立大学図書館協会地区協会助成事業「図書館の防災を考える:実践的危機管理訓練の有用性」を、Webex Eventsを使用しオンラインで開催いたしました。
学内外の図書館員を中心に111名が参加しました。

講演会のプログラム等は過去の職員研修に掲載しております。

講演「図書館の防災を考える:実践的危機管理訓練の有用性」

大阪大学安全衛生管理部副部長の山本教授より、図書館における防災についてご講演いただきました。
図書館という場の特異性、災害のカテゴリーごとに発生リスクや対応を想定すること、大阪北部地震の経験、災害に備えるマニュアル・行動チェックリスト整備や複数タイプの訓練実施、シナリオを提示しない実践的危機管理訓練の取り組みなどを、多くの写真や図、動画を交えながらお話しいただきました。

複雑な建物構造が多く、また入館者はその構造に不慣れな場合が多く居場所の把握も困難であること、火災の場合は電気火災に注意すべきであること、地震の場合は書架の転倒と本の散乱を前提として避難ルートや被害を想定することなど、詳細に解説していただき、防災を考えるにあたり様々な事態の想定と体系化した訓練の必要性が理解できる内容でした。

質疑応答・参加者の感想

参加者からは、多くの事前質問が寄せられました。

山本教授からは講演内容に含めてご回答いただいた他、質疑応答の時間に詳しく解説と回答をいただきました。
自機関で想定される事態をまず考えてみる他、学内の安全衛生管理部署や施設管理部署・地元の消防署などと相談することも有効であること、自衛隊の防災マニュアルなども入手可能であること、ブラインド訓練のシナリオを考えること自体も訓練になること、完璧を目指さずできないことは諦める勇気も必要であること、災害の際に有用な資材など、具体的な情報が多く紹介されました。

終了後のアンケート回答では、「マニュアルなどを整え情報共有し、また更新をすることが必要だと思いを新たにした」「はっきりした答えがないからこそ、準備や訓練をしっかりしていきたい」「ブラインド型避難訓練を是非取り入れたい」などの感想が寄せられ、高い評価を得られました。