2013年11月28日(木)~12月27日(金)
2013年も終わりが近づいてきました。
今年は大阪大学の原点「適塾」の創設175周年、その開祖である緒方洪庵の没後150年にあたります。
そしてまた、大阪外国語学校蒙古語部(のち大阪外国語大学、現大阪大学外国語学部)の卒業生である小説家・司馬遼太郎の生誕90年の年でもありました。
適塾についてはさまざまな本で取り上げられていますが、司馬遼太郎が適塾出身の兵学者・大村益次郎の生涯を描いた小説『花神』でも、塾生たちのようすが生き生きと描かれています。
そこで今年最後の14冊の本棚では『花神』を糸口として、適塾、そして江戸期の蘭学・洋学者たちの周辺を知ることができる本をご紹介します。
なお、適塾の建物は現在、耐震改修工事のため休館中ですが、豊中キャンパスで適塾関連の催しがあります。こちらもぜひ。(詳しくは、下記リンクよりそれぞれの案内ページでご確認ください)
・展覧会「緒方洪庵・適塾と近世大坂の学知」 開催中~2013年12月27日(金)まで
・大阪大学適塾記念講演会「大坂洋学事始-その萌芽と成熟」 2013年12月14日(土) ※要申込
司馬遼太郎の作品など
タイトル / 著者 ( シリーズ名) | ||
1 | 花神 / 司馬遼太郎著 ; 上巻, 中巻, 下巻 (新潮文庫 ; 草-152-Q-S,し-9-17-19) 適塾で蘭学を学び、医師から後に兵学者となった大村益次郎の生涯を描く小説 | |
2 | 胡蝶の夢 / 司馬遼太郎著 ; 1, 2 (司馬遼太郎全集 / 司馬遼太郎著 ; 40-41) 緒方洪庵亡き後、幕府の医学所頭取を引き継いだ松本良順の生涯と、その師であり日本に体系的な西洋医学教育をもたらしたオランダ医・ポンぺを描いた小説 | |
3 | 司馬遼太郎全講演 ; 第3巻 1990-1995 / 司馬遼太郎著 「ポンぺ先生と弟子たち」「『花神』から『胡蝶の夢』へ」を収録 |
適塾とその塾生たち
4 | 緒方洪庵と適塾 / 梅溪昇著 緒方洪庵と適塾を知るためのコンパクトな一冊 | |
5 | 適塾をめぐる人々 : 蘭学の流れ / 伴忠康著 適塾の周辺と維新後にたどった経緯を知るのに最適 | |
6 | 福翁自伝 / 福沢諭吉 [著] ; 土橋俊一校訂・校注 (講談社学術文庫 ; [1982]) 適塾出身で後に慶応義塾を創設した福沢諭吉の自伝。適塾時代の回想では、塾生たちのようすがありありと描かれています | |
7 | 日赤の創始者佐野常民 / 吉川龍子著 (歴史文化ライブラリー ; 118) 同じく適塾出身者であり、日本赤十字社を創設した佐野常民の人物伝 | |
8 | 緒方洪庵の妻 / 西岡まさ子著 洪庵を支え、塾生の母代りをつとめた妻・八重の生涯を、史実を丹念に調べて描いた小説 |
蘭学者・洋学者とその周辺
9 | 漢学と洋学 : 伝統と新知識のはざまで / 岸田知子著 (阪大リーブル ; 024 . 懐徳堂) 漢学と洋学。二つは相対するようですが、知を求めるがゆえの行き来や葛藤があったことが紹介されています | |
10 | 大坂蘭学史話 / 中野操著 町人のまち大坂の風土でさかえた蘭学の歴史をまとめあげた一冊。適塾のほか、傘屋の職人出身ながら江戸で蘭学を学び大坂蘭学の基礎を築いた橋本宗吉などを紹介 | |
11 | 西洋文化事始め十講 / 杉本つとむ著 江戸時代、西洋文化や洋学が日本にはいってきた当時の事情が語られています。第3話では適塾の「ヅーフ部屋」で有名な蘭和辞書「ドゥーフ・ハルマ」も登場 | |
12 | 洋学の系譜 : 江戸から明治へ / 惣郷正明著 蘭学から始まった洋学はやがて英語などオランダ語以外の言語による学問へと広がっていきます。また、洋学史は西洋語学の学習、翻訳の歴史でもありました | |
13 | 新編おらんだ正月 / 森銑三著 ; 小出昌洋編 (岩波文庫 ; 緑-153-4) 江戸時代の蘭学者50余名の列伝をやさしい語り口で | |
14 | シーボルト日記 : 再来日時の幕末見聞記 / [シーボルト著] ; 石山禎一, 牧幸一訳 長崎「鳴滝塾」で診療のかたわら医学教育をおこなったドイツ人医師・シーボルトの日記。外国人の目をとおして幕末期の日本のようすを窺い知ることのできる一冊 | |
15 | ふぉん・しいほるとの娘 / 吉村昭著 ; 上, 下 シーボルトの娘であり、日本で初めて西洋医学を学んで開業した女医・楠本いねの生涯を描いた小説 |